共同研究・競争的資金等の研究課題

2020年4月 - 2023年3月

肺機能低下と睡眠呼吸障害の横断・縦断的解析と病態生理解明のためのメタボローム解析

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)  基盤研究(B)

課題番号
20H03690
担当区分
研究分担者
配分額
(総額)
17,810,000円
(直接経費)
13,700,000円
(間接経費)
4,110,000円

新型コロナウィルス蔓延のため、コホートでの資料採集はできなかったので、現状までの資料の解析を重点的に行った。「ながはまコホート」約7,500名の参加者に対して、加速度計と酸素飽和度計を用いて睡眠呼吸障害(SDB)の重症度を評価し、肥満(BMI 25 kg/m2以上)がなくても生活習慣病があると中等症以上のSDBとの関連を認めた(調整済みオッズ比は高血圧2.3, 95%CI 1.8-2.8; 糖尿病1.5, 95%CI 1.1-2.1; 脂質異常症1.5, 95%CI 1.2-1.9; メタボリック症候群2.2, 95%CI 1.6-3.0)。生活習慣病に肥満が重なるとさらにその関連度が高くなった。眠気や主観的な睡眠の質の低下はSDBと関連は認められなかった。これまで肥満や眠気などの症状がとりわけSDBとの関連において注目されていたが、肥満がなくても生活習慣病があれば、治療が必要になる可能性が高い中等症以上のSDBに注意する必要があることを示した点は世界的にも初めてのことであり、肥満ばかりでなく、高血圧、糖尿病などの生活習慣病の管理が中等度以上のSDB発症を抑えるか否かの今後の課題を与え、大いに注目された。
また、糖尿病家族歴(FHD)、SDB、糖代謝異常(糖尿病の有病率、インスリン抵抗性、SDB評価以前の約5年間に新規発症した糖尿病の有病率)の関連を横断的に検討した。
FHDを有する女性において、SDBは2型糖尿病の有病率の増加及びインスリン抵抗性の増大と有意な関連があり、近5年間に新規発症した糖尿病の有病率は中等症以上のSDBで21.4%と高値であった(SDB無し:1.1%, P <0.001)。また、糖尿病の有病率とインスリン抵抗性に対して、SDBとFHDは有意な交互作用が認められた。一方、FHDを有する男性においてSDBと糖代謝異常の関連は認められなかった。

ID情報
  • 課題番号 : 20H03690