共同研究・競争的資金等の研究課題

2010年 - 2010年

骨細胞の力学刺激感知・情報伝達による機能的適応のメカノバイオロジー

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)
  • 安達 泰治
  • ,
  • 井上 康博
  • ,
  • 北條 正樹

課題番号
22616003
配分額
(総額)
3,640,000円
(直接経費)
2,800,000円
(間接経費)
840,000円

骨は、力学的環境の変化に対する適応的リモデリングにより、自らの構造や特性を機能的に変化させる。この現象の解明は、骨のバイオメカニクス・メカノバイオロジー研究における重要な課題であるが、鍵となる細胞レベルにおける各種の生化学的応答に対する力学的因子の関与は、十分には理解されていない。さらに、細胞レベルの形成・吸収活動が、如何に組織・構造レベルの形態的適応をもたらすかについては、未知な点が多い。そこで、本研究では、骨の細胞活動や構造変化と力学因子とを関連付けるシステムとして、骨基質内部に存在する骨細胞に着目し、その力学刺激感知・伝達による機能的適応の機構解明を目指した。
まず、単離骨細胞の力覚機構を明らかにするため、細胞突起内のアクチン細胞骨格、接着斑の構造に着目し、直接的な力学刺激負荷に対する細胞内カルシウム応答と一酸化窒素産生の挙動を観察した。その結果、局所的な力学刺激に対して、骨細胞が一酸化窒素産生応答を示し、さらに、カルシウム応答に比べて小さな刺激に対しても敏感に一酸化窒素産生応答が生じることが示された。
次に、細胞間ネットワークを介した情報伝達、および、破骨細胞・骨芽細胞による骨吸収・形成過程を数理モデルとして表現し、骨リモデリングによる形態適応現象の予測のための計算機シミュレーション手法を構築した。ここでは、骨小腔-骨細管を含む骨基質を多孔質弾性体としてモデル化し、これまで進めてきた理論的検討を基礎として、骨梁の変形-力関係やひずみ・応力・間質液圧力などの基本的なふるまいを理解すると同時に、多孔質弾性体に対する有限要素解析手法の開発により、複雑な形態を有する骨梁内部の間質液の力学的ふるまいを明らかにした。