共同研究・競争的資金等の研究課題

2003年 - 2005年

微小循環系における血流動態の解明:赤血球のレオロジー特性が果たす役割

日本学術振興会  科学研究費助成事業 特別研究員奨励費
  • 井上 康博

課題番号
03J10450
配分額
(総額)
3,300,000円
(直接経費)
3,300,000円

微小循環系における血流において、赤血球運動と血漿流れを互いに独立な運動として近似することはできない。なぜなら、微小循環系の血管径は100μmから1μm程度に渡り、そのどのスケールにおいても、赤血球の大きさ(約10μm)を無視することができないからである。本研究では、1)赤血球の運動と血漿の流れを直接的に扱う新しい数値計算モデルの提案を行い、2)提案したモデルによる微小循環系における血流動態の解明を進めている。
平成17年度は、細胞間の相互作用を分子論的に捉え、その結果の巨視的な現象を見るために以下のことを行った。
I)細胞の基本的な構造である脂質2分子膜が球状に閉じたリポソームに注目した。
II)脂質分子として、DPPCを扱い、その粗視化分子動力学モデルを構築した。
III)統計物理学に基づき、等温環境の仮定のもと分子間相互作用を粗視化し、メゾスコピック手法の1つであるStochastic Rotation Dynamics法の枠組みで分子間相互作用をモデル化した。
IV)溶媒をStochastic Rotation Dynamics法で扱い、脂質を粗視化分子動力学法で扱い、溶媒と脂質分子の相互作用をIII)のモデルでカップリングすることで、脂質分子のメゾスコピック手法を開発した。
V)本メゾスコピックモデルにより、脂質2分子膜の平面形状から球状へと閉じるリポソームのシーリングプロセスを再現できることを確認した。
VI)分子動力学法、および、散逸粒子動機理学法の結果とも定性的に良い一致を示すことを確認し、計算時間においても大幅な短縮を確認した。