共同研究・競争的資金等の研究課題

2012年 - 2014年

糖尿病性腎症における鉄代謝異常の分子機序と鉄制御に基づく新規治療法の開発

文部科学省  科学研究費補助金(基盤研究(C))  基盤研究(C)

課題番号
24591203
体系的課題番号
JP24591203
担当区分
研究代表者
配分額
(総額)
5,460,000円
(直接経費)
4,200,000円
(間接経費)
1,260,000円
資金種別
競争的資金

鉄除去による糖尿病性腎症の進展抑制効果について、8週齢のdb/dbマウスに正常鉄食を与えた群と鉄制限食を与えた群に分けて比較した。コントロールとして正常鉄食を与えたdb/mマウスを用いた。db/mマウスと比べてdb/dbマウスは実験開始時において既に尿中微量アルブミン排泄量は増加しており、4週、8週経過後にさらなる増加を認めた。鉄制限食群では尿中微量アルブミン排泄量の増加は抑制された。db/dbマウス正常食群でみられた糸球体肥大、メサンギウム領域増加、コラーゲンIVやフィブロネクチンの細胞外基質の増生などの変化は、鉄制限食によって抑制された。またデスミンによる糸球体足細胞障害も鉄制限で軽減された。酸化ストレスについて、db/dbマウス正常鉄食群の腎臓では、ジヒドロエチジウム染色によるスーパーオキシドとTBARS法によるマロンジアルデヒドは増加していたが、鉄制限食群ではそれらは抑制された。またdb/dbマウス正常食群の腎臓で増加していたNADPH oxidase活性、NADPH oxidaseコンポーネントp22phoxとNOX4の発現は鉄制限によって抑制された。鉄代謝について、腎組織鉄量はdb/mマウスとdb/dbマウス正常食群で差は認められなかったが、血清鉄濃度、尿中鉄排泄量はdb/dbマウスで高値であった。腎臓におけるトランスフェリン受容体とDMT1の発現はdb/mマウスとdb/dbマウス正常食群で差は認められなかったものの、フェロポルチンの発現はdb/dbマウス腎臓で増加していた。フェリチン重鎖の発現もdb/dbマウス腎で上昇していた。フェロポルチンとフェリチン重鎖は、主に尿細管細胞に発現していた。以上から、食事由来の鉄摂取制限は、酸化ストレスを軽減することで糖尿病性腎症の進展抑制効果を示すことが確認され、糖尿病腎では鉄代謝調節機構が変化していることが示唆された。

リンク情報
URL
http://kaken.nii.ac.jp/d/p/24591203.ja.html
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-24591203
ID情報
  • 課題番号 : 24591203
  • 体系的課題番号 : JP24591203