2008年4月
内臓脂肪および皮下脂肪の蓄積と頸動脈内膜中膜複合体肥厚との関係
日本循環器病予防学会誌
- 巻
- 43
- 号
- 1
- 開始ページ
- 63
- 終了ページ
- 69
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 出版者・発行元
- (一社)日本循環器病予防学会
【目的】肥満は動脈硬化の独立した危険因子であるが、頸動脈エコーで評価した動脈硬化の状態と腹部脂肪分布を考慮した肥満との関係についての知見は十分でない。今回、頸動脈内膜中膜複合体厚(Intima-media thickness:IMT)の肥厚の有無に対する内臓脂肪および皮下脂肪蓄積の関係について調査した。【方法】対象は1,089人(女性278人)。日本脳神経超音波学会のガイドライン(案)に従い、頸動脈エコーによりIMT肥厚の有無(プラーク形成の有無に関わらず、max-IMT 1.1mm以上は肥厚あり)を評価した。IMT肥厚の有無と、臍レベルのCT撮影による内臓脂肪面積(visceral fat area:VFA)、皮下脂肪面積(subcutaneous fat area:SFA)との関係について、多重ロジスティック回帰分析を用いて性、年齢、収縮期血圧、脈拍数、LDLコレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪、随時血糖で調整の上評価した。【結果】IMT肥厚あり群は760人、IMT肥厚なし群は335人であった。VFAはIMT肥厚あり群(110.1±51.9cm2)がIMT肥厚なし群(102.9±53.4cm2)より有意に高値であり(p=0.0368)、SFAはIMT肥厚あり群(154.3±59.1cm2)がIMT肥厚なし群(163.7±72.9cm2)より有意に低値であった(p=0.0260)。交絡要因で調整したところ、VFAの1SDあたりのオッズ比、95%信頼区間、p値は(1.23,1.03-1.47,p=0.0260)であり、SFAは(0.82,0.70-0.95,p=0.0104)であった。【結語】IMT肥厚に対して、内臓脂肪蓄積は促進的、皮下脂肪蓄積は抑制的であることが示唆された。(著者抄録)
- ID情報
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- ISSN : 1346-6267
- 医中誌Web ID : 2008198700