基本情報

所属
関東学院大学 国際文化学部 比較文化学科 講師
慶應義塾大学 法学部 非常勤講師
学位
博士(学術)(東京大学)

研究者番号
50847449
J-GLOBAL ID
201701015437816377

人類学を基礎に置きつつ、以下のような問いを立てています。身体的存在者としての人が、いかに社会的な集合、小さな共同性を構成するのか。またその共同性の構成過程でどのようなミクロな相互作用が存在者間でなされているのか。さらに、その構成過程において、人にいかなる(存在論的な)変容が訪れているのか、といったものです。このような原理的な関心から派生して、以下の個別的な問いにこれまで取り組み、また今後取り組もうとしています。。

1) サッカーのトレーニングを通じた戦術的組織化の過程

ポルトガル共和国ポルト市のポルト大学スポーツ学部で開発されたサッカーのトレーニング方法論「戦術的ピリオダイゼーション」を一個の思想と捉えて分析しつつ、応用実践しているクラブにてフィールドワークを行い、そのチーム作りの過程を考察しました。ここから、選手たちの特異性をいかに組み合わせ、一つの集合体を構築しているか、その過程で、その特異性の価値がいかに変容しているかを検討しました。その際、「戦術的ピリオダイゼーション」の思想の根幹にあるスピノザ哲学と、そこに関わるドゥルーズ哲学の情動論を導きの糸として、以上の戦術的組織化は、「出会いの組織化」に相当する、特異性の「喜び」ある」関係を構築し続けようとする過程であると論じました。これは、博士論文として結実しており、今後単著として出版する予定です。

 

2) 人類学の構成的次元としての「翻訳」について

存在論的変容の到来する局面として人類学的フィールドワークを位置づけて、そこで人類学者自身がいかなる変容を被っているかについて考えています。以下のいずれについても、現在は予備的な考察を終えた段階にあり、現在もっとも注力している研究です。

a) 概念と「翻訳」: 人類学者と政治性

とりわけヴィヴェイロス・デ・カストロが示唆した、「概念の人類学」における「翻訳」の議論に着目し、フィールドにおいて生起する現象と、人類学者の理論・概念との関係について関心を寄せています。彼の多自然主義に関する議論を考慮すれば明らかなことに、これはいわゆる20世紀人類学において掲げられてきた「文化の翻訳」とは異なっています。とすれば、それとは別様の翻訳を掲げること、そしてそれを人類学という学問の根幹すなわち構成的次元に据えることは、いかなる意味を持つのか。これについて、人類学が他の学知と持つ(ある種の政治的な)関係と、そして人類学内において植民地主義などと関連する政治的論点という、二重の政治性から検討する必要があると考えています。これについては、いくつかの論文で論点を整理する研究を行なって公表してきました。

b) スポーツ人類学の方法論の錬成

以上のa)の成果に続いて、スポーツというすぐれて身体的な実践に関して人類学者が調査する局面に照合して考察する段階がありうると考えています。スポーツ人類学という「若い」学問領域は、その研究対象と親学問の多様性もあって、方法論的な議論が決して豊かに蓄積されているとは言えないなか、身体という側面を切り口にして、スポーツという実践に参与観察する人類学者の位置とはいかなるものか、その身体性の高い実践が人類学者の変容にいかなる影響を与えているかを考察しようと考えています。これは博士論文の延長上に位置付けられ、これまでいくつかの論文で予備的な考察を行って議論を喚起してきました。


論文

  10

MISC

  2

書籍等出版物

  1
  • 寒川, 恒夫(担当:分担執筆, 範囲:異端の練習文化―−戦術的ピリオダイゼーションという思想)
    ミネルヴァ書房  2017年3月 (ISBN: 9784623080151) 

講演・口頭発表等

  8

担当経験のある科目(授業)

  10

共同研究・競争的資金等の研究課題

  1