1999年 - 2000年
鼓膜癒着症の成因および緊張部型真珠腫への進展機序に関する研究
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
これまでに中耳真珠腫上皮の増殖機序について研究を行ってきた。真珠腫上皮において各種サイトカインの発現亢進がみられ、これらの増殖因子とレセプターのregulation異常も確認した。またinterleukin-1α(IL-1α)をはじめとするサイトカインの発現は、上皮下結合組織の炎症細胞の影響を受け、とくに線維芽細胞が産生するkeratinocyte growth factor(KGF)によるparacrine regulationを介することが判明した。
細胞周期からの研究では、中耳真珠腫では骨部外耳道皮膚に比較してcyclin dependent kinase 2(cdk2)、cdk4、cyclin Dの発現亢進を認め、これらが細胞周期関連物質の発現を規定し、上皮増殖を導くことを証明した。
一方、表皮細胞に特有である終末分化の研究においては、分化のシグナル伝達に中心的な役割を果たすprotein kinase Cδ(PKCδ)、PKCηおよびCK1、CK10、Involcurinの発現を検討し、真珠腫上皮の終末分化が正常皮膚と動揺であることを証明した。加えて、アポトーシス抑制遺伝子Bcl-XLが上皮細胞の分化を抑制している可能性が示唆され、真珠腫上皮細胞のアポトーシスも正常皮膚と同様におこっていることが確認された。すなわち、各種サイトカインの発現亢進によってもたらされた上皮の過増殖が、正常な終末分化とアポトーシスによって調節された結果、中耳真珠腫の特徴であるケラチンデブリの異常堆積を生ずるものと推察された。
細胞周期からの研究では、中耳真珠腫では骨部外耳道皮膚に比較してcyclin dependent kinase 2(cdk2)、cdk4、cyclin Dの発現亢進を認め、これらが細胞周期関連物質の発現を規定し、上皮増殖を導くことを証明した。
一方、表皮細胞に特有である終末分化の研究においては、分化のシグナル伝達に中心的な役割を果たすprotein kinase Cδ(PKCδ)、PKCηおよびCK1、CK10、Involcurinの発現を検討し、真珠腫上皮の終末分化が正常皮膚と動揺であることを証明した。加えて、アポトーシス抑制遺伝子Bcl-XLが上皮細胞の分化を抑制している可能性が示唆され、真珠腫上皮細胞のアポトーシスも正常皮膚と同様におこっていることが確認された。すなわち、各種サイトカインの発現亢進によってもたらされた上皮の過増殖が、正常な終末分化とアポトーシスによって調節された結果、中耳真珠腫の特徴であるケラチンデブリの異常堆積を生ずるものと推察された。
- ID情報
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- 課題番号 : 11671705
- 体系的課題番号 : JP11671705