2004年 - 2006年
後天性中耳真珠腫の発症・進展機序の解明と予防・治療に関する研究
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
後天性中耳真珠腫の発症・進展機序に関する基礎・臨床的な研究を行うと同時に、後天性中耳真珠腫の病態、術式、術後成績ならびに術後経過と再発や聴力改善の要因、そして適切な術式の選択基準について検討した。
発症・進展機序は3つの段階を踏むと推測している。第一段階は、弛緩部陥凹であり、難治性中耳炎などに伴う、液貯留や粘膜病変による粘膜ガス代謝障害などに起因する陰圧化や炎症のrepairによるものである。また気胞化の抑制に伴う上鼓室周辺の骨性形態の狭小化と粘膜ヒダの形成も絡むと考えられる。しかしこのような形態変化のみでは真珠腫の発症には至らず、第二段階としての上鼓室腔における慢性炎症の持続が必要となる。すなわち炎症の遷延による間質の肥厚などにより、陥凹上皮裏面は複雑な狭小腔を形成するに至る。炎症の急性増悪による表皮の増殖や肉芽形成に続き、陥凹嚢壁が部分的に崩壊し、重層扁平上皮が粘膜上皮を置換しながら粘膜腔へ侵入immigrationし複雑な形態を呈する。第三段階はdebrisの蓄積と感染によるサイトカインの関与である。真珠腫上皮のバリアー機構の障害により、上皮下の線維芽細胞などからの刺激をはじめ、表皮と表皮下組織のcross-talkなどの機序で表皮の増殖が誘導されるなど炎症の悪循環で真珠腫進展が起こると推測される。
これからの治療戦略として、安全なアプローチとしてのバーチャル手術や、術後成績の改善のための中耳粘膜の再生(形態的ならびに機能的)についても検討した。
発症・進展機序は3つの段階を踏むと推測している。第一段階は、弛緩部陥凹であり、難治性中耳炎などに伴う、液貯留や粘膜病変による粘膜ガス代謝障害などに起因する陰圧化や炎症のrepairによるものである。また気胞化の抑制に伴う上鼓室周辺の骨性形態の狭小化と粘膜ヒダの形成も絡むと考えられる。しかしこのような形態変化のみでは真珠腫の発症には至らず、第二段階としての上鼓室腔における慢性炎症の持続が必要となる。すなわち炎症の遷延による間質の肥厚などにより、陥凹上皮裏面は複雑な狭小腔を形成するに至る。炎症の急性増悪による表皮の増殖や肉芽形成に続き、陥凹嚢壁が部分的に崩壊し、重層扁平上皮が粘膜上皮を置換しながら粘膜腔へ侵入immigrationし複雑な形態を呈する。第三段階はdebrisの蓄積と感染によるサイトカインの関与である。真珠腫上皮のバリアー機構の障害により、上皮下の線維芽細胞などからの刺激をはじめ、表皮と表皮下組織のcross-talkなどの機序で表皮の増殖が誘導されるなど炎症の悪循環で真珠腫進展が起こると推測される。
これからの治療戦略として、安全なアプローチとしてのバーチャル手術や、術後成績の改善のための中耳粘膜の再生(形態的ならびに機能的)についても検討した。
- ID情報
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- 課題番号 : 16591728
- 体系的課題番号 : JP16591728