2005年 - 2007年
樹状細胞及び腫瘍細胞による融合細胞を用いた腫瘍特異的免疫療法の開発
日本学術振興会 科学研究費助成事業 若手研究(B)
今年度は樹状細胞および腫瘍細胞からなる融合細胞の免疫誘導能に関し、各種MHCノックアウトマウスより融合細胞を作製し、抗腫瘍効果に及ぼすMHC拘束性の影響について主にCytotoxic lymphocyte assay (CTL)を用いて検討した。正常なC57BL/6マウスおよびC57BL/6マウスを由来とするMHCノックアウトマウスの骨髄より樹状細胞を採取し、異系であるDBA/2マウス由来の扁平上皮癌細胞株(KLN205)に腫瘍抗原としてMUC1を遺伝子導入した。更に、採取した樹状細胞とMUC1を遺伝子導入したKLN205細胞から融合細胞を作製した。そして、正常なC57BL/6マウス、MHCクラスIノックアウトマウス(MHC-I^<-/->)、MHCクラスIIノックアウトマウス(MHC-II^<-/->)およびMHCクラスI&IIノックアウトマウス(MHC-I^<-/->&II^<-/->)の樹状細胞より作製された融合細胞を用いてC57BL/6マウスに免疫を行った。それぞれ異なる融合細胞で免疫されたC57BL/6マウスからリンパ節を採取し、T細胞を分離したのちMUC1で刺激を行った。そして、免疫能が誘導されたT細胞と腫瘍抗原としてMUC1を遺伝子導入したKLN205をはじめとする各種癌細胞株を用い、腫瘍抗原特異的な細胞障害能をCTLにて検討した。その結果、MHC-I^<-/->および正常なC57BL/6マウス由来の融合細胞で免疫されたT細胞は腫瘍抗原特異的に高い細胞障害能を有するのに対し、MHC-II^<-/->およびMHC-I^<-/->&II^<-/->由来の融合細胞で免疫されたT細胞はほとんど細胞障害能を有していないことが判明した。上記の結果より、融合細胞による腫瘍抗原特異的な免疫誘導にはMHCクラスIIの重要性が示唆される結果であった。
- ID情報
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- 課題番号 : 17791204
- 体系的課題番号 : JP17791204