2018年12月
若年女性のやせ願望と心理的ストレスが食行動に及ぼす影響
名古屋学芸大学健康・栄養研究所年報
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- 巻
- 号
- 10
- 開始ページ
- 45
- 終了ページ
- 56
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 出版者・発行元
- 名古屋学芸大学健康・栄養研究所
若年女性のやせ願望と心理的ストレスが食事行動に及ぼす影響を明らかにするために、看護専門学校女子学生(看護系学生)204名および管理栄養士養成施設の女子大学生(栄養系学生)253名を対象に、1)身体計測、2)食物摂取頻度調査(FFQ)による食事調査、3)食行動に関するアンケート調査、4)SRS-18によるストレスチェックを実施した。看護系学生は「やせ願望」の有無にかかわらず、エネルギー摂取量には差を認めなかったが、栄養系学生では「やせ願望」を有する者はエネルギーおよび糖質摂取量が有意に少なかった。最近1年間の3kg以上の体重変化を検討すると、看護系学生ではやせ願望群の体重減少者は11%、体重増加者は19%と体重増加者の方がむしろ多かった。栄養系学生では3kg以上の体重減少者はやせ願望群35%、正常認識群26%とやせ願望群に多く、体重増加者はいなかった。過去3年以内にダイエットを経験した者は、看護系学生ではやせ願望群71%、正常認識群49%、栄養系学生ではやせ願望群67%、正常認識群46%と、いずれもダイエット経験の頻度はやせ願望群で有意に高かった。ダイエット効果はいずれの群も約70%の者が効果を得られたと感じていたが、約60%がリバウンドを経験していた。看護系学生は栄養系学生よりもSRS-18におけるストレススコアが有意に高かった。やせ願望群では、SRS18によるストレススコアが正常認識群と比較して高く、食生活とストレスの関係性が示唆された。ストレスを感じた時に過食傾向になる頻度は、看護系学生ではやせ願望群67%、正常認識群35%、栄養系学生ではやせ願望群56%、正常認識群29%と、やせ願望群はストレスにより過食傾向がみられた。やせ願望群は、摂食行動に問題を有するリスクが高く、心理学的ストレスの把握は過度のダイエットや摂食障害のリスク評価になることが示唆された。(著者抄録)
- ID情報
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- ISSN : 1882-1820
- 医中誌Web ID : 2019248252