セシウムフリー鉱化法を用いた土壌除染におけるCaCl$_{2}$及びKCl添加物の効果
日本原子力学会2017年秋の大会
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- 開催年月日
- 2017年9月
- 記述言語
- 日本語
- 会議種別
- 開催地
- 札幌
- 国・地域
- 日本
CaCl$_{2}$とKCl添加物を用いたセシウムフリー鉱化法(CFM)による福島汚染土壌の除染試験を行った。加熱処理前後の放射能濃度変化をNaI検出器で調べると共に、土壌成分の構造変化をX線回折法(XRD)により分析した。乾燥土壌にアルカリ塩を重量比1:1で添加し、大気もしくは低圧加熱処理を2時間行った後に余剰塩を水洗除去し、その後分析した。CaCl$_{2}$添加の場合は大気・低圧加熱で大きな差は観測されず、790$^{\circ}$Cで97\%の除染率が得られた。また、740$^{\circ}$Cで低圧加熱処理を3回行うと除染率は99\%に達した。この場合汚染土壌中の風化黒雲母(WB)の底面反射ピークは消滅し、大気・低圧加熱処理により異なるXRDパターンが観測された。この結果はCFMが実際の土壌除染に有効であることと、生成物が加熱時の圧力条件に依存することを示している。一方、KCl添加の場合は低圧加熱が大気加熱よりも高い除染率を示し、790$^{\circ}$Cで83\%の除去率が得られた。この試料のXRDパターンはbiotiteのピーク成分を示したためCs除去は主にイオン交換によるものと考えられる。この結果は、KClとCaCl$_{2}$添加時の熱処理によるCs除去メカニズムが異なることを示唆している。