講演・口頭発表等

Cs化合物およびCs吸着土壌からのイオン脱離

第31回日本放射光学会年会・放射光科学合同シンポジウム
  • 馬場 祐治
  • ,
  • 下山 巖

開催年月日
2018年1月
記述言語
日本語
会議種別
開催地
つくば
国・地域
日本

福島第一原子力発電所の事故以来、土壌など環境試料中に吸着したCs($^{137}$Cs)の除染法の確立は緊急の課題である。汚染試料を加熱してCsを蒸発させる乾式法は、廃棄物の発生量が少ないため有力な除染法であるが、エネルギーコストを考えると、できるだけ低温でCsを蒸発させる必要がある。Csはイオン化電位が3.9eVと全元素中最小なので、加熱によりCs$^{+}$イオンとして脱離する可能性がある。そこで、Cs化合物(CsCl)およびCsを吸着させた粘土鉱物について、加熱した時の脱離種を四重極質量分析計により、残渣の組成と化学状態を蛍光X線及びバルク敏感の放射光X線光電子分光法(XPS)により測定した。Cs吸着粘土を460$^{\circ}$Cに加熱すると、中性のCsは検出限界以下であったが、イオンの脱離ではCs$^{+}$が明瞭に認められた。460$^{\circ}$Cで2時間加熱した後の残渣をXPSで測定した結果、Cs3d$_{5/2}$のピーク強度は加熱により約13\%減少した。このことから、粘土に正電位を印加して加熱することによりCsの一部を、比較的低温でCs$^{+}$イオンとして脱離させることができることがわかった。

リンク情報
URL
https://jopss.jaea.go.jp/search/servlet/search?5060744