共同研究・競争的資金等の研究課題

2018年4月 - 2021年3月

ナノスケールマーキングによる局所塑性ひずみの統計的評価法の確立

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
18K04751
体系的課題番号
JP18K04751
配分額
(総額)
4,420,000円
(直接経費)
3,400,000円
(間接経費)
1,020,000円

構造用材料は弾性限や強度といったマクロ力学特性により評価され,その定量的数値を基に構造設計が行われる.不測の状況下での建物や車輌等の倒壊や破壊から人命を守るという観点から,材料の変形に対する抵抗の増加や塑性変形限界を越えた状態での壊れ難さといった動的な材料特性の向上が急務である.金属材料は結晶粒微細化や母相への硬質相の分散等の内部組織制御により強度を変化させ得る.これは材料内部を不均一とすることで変形中の結晶内部に不均一変形状態をもたらし,ひずみの勾配を生じさせる強化原理に基づく.しかし,結晶中におけるひずみ勾配の過剰な増大はむしろ破壊の起点を形成させることに繋がる.すなわち,材料中の変形の不均一は強化と弱化の相反する材料特性を齎す.そこで,これを制御する鍵は「不均一変形状態の定量的把握」であると言える.本研究では,ナノスケールオーダーのマーキング法を用いて微小領域における塑性変形状態を把握するとともに,それを局所ひずみ分布として数値化し,マクロ材料全体からのビッグデータ取得の手段へと拡張することで,複雑な塑性変形挙動を統括的に理解し,特に構造用として優れた材料の開発へ向けた指針構築を目指す.
昨年度は,深海底敷設用のラインパイプを構成する材料を想定し,荷重反転に伴う降伏応力低下現象に及ぼす材料内部の塑性変形状態の影響を検討し,局所変形領域において荷重反転に伴いひずみが回復するという特異な現象を発見した.本年度は,さらに多くのデータを得ることでひずみの回復現象の程度が,当初与えたひずみ量に依存する傾向を明らかにした.一方,新たに,自動車用マルテンサイト材料について,通常では相反する強度と延性の発現が,ある内部組織状態では強度を変化させても延性が保たれる現象を見出し,局所ひずみとの関係を検討した.

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-18K04751
ID情報
  • 課題番号 : 18K04751
  • 体系的課題番号 : JP18K04751