2018年4月 - 2022年3月
弦理論の幾何学とスペクトル理論
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
本研究の目的は弦理論におけるカラビ・ヤウ多様体の幾何学と量子可積分系・2次元電子系におけるスペクトル理論を結びつけ、弦理論の非摂動的側面の理解を深めることである。本年度は当初の研究計画にはなかったが、ブラックホールの準固有振動モードに関する研究を主に行った。これは思いがけず本研究課題に非常に近いことが判明したためである。具体的には以下の2点に関する研究を行った。
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ブラックホールの摂動論を考えると、2階の線形微分方程式が得られる。この固有方程式に適切な境界条件を課すと、固有値として離散的な複素数のみ許される。このような複素固有値は準固有振動数と呼ばれ、連星ブラックホールの合体の最終段階で重要な役割を果たす。観測との比較のためにも準固有振動数の計算は重要な課題である。本年度の研究では量子力学の摂動論に基づき、準固有振動数を効率よく計算するためのアルゴリズムを提唱した。摂動論は適用範囲が広く、様々なシチュエーションに応用できるのが利点である。ここで提唱したアルゴリズムも幅広いブラックホール時空に対して適用可能なので今後様々な応用が期待できる。
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これと並行して弦理論におけるトーリック・カラビ・ヤウ多様体と2次元格子上のブロッホ電子模型の対応について考えた。今年度は蜂の巣格子模型に対応するカラビ・ヤウ多様体を探索し、紆余曲折を経て対応物を同定した。その結果、エネルギーバンド幅に対して、弱磁場極限下における解析的な結果を得ることに成功した。まもなく査読論文雑誌JHEPに掲載予定である。
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ブラックホールの摂動論を考えると、2階の線形微分方程式が得られる。この固有方程式に適切な境界条件を課すと、固有値として離散的な複素数のみ許される。このような複素固有値は準固有振動数と呼ばれ、連星ブラックホールの合体の最終段階で重要な役割を果たす。観測との比較のためにも準固有振動数の計算は重要な課題である。本年度の研究では量子力学の摂動論に基づき、準固有振動数を効率よく計算するためのアルゴリズムを提唱した。摂動論は適用範囲が広く、様々なシチュエーションに応用できるのが利点である。ここで提唱したアルゴリズムも幅広いブラックホール時空に対して適用可能なので今後様々な応用が期待できる。
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これと並行して弦理論におけるトーリック・カラビ・ヤウ多様体と2次元格子上のブロッホ電子模型の対応について考えた。今年度は蜂の巣格子模型に対応するカラビ・ヤウ多様体を探索し、紆余曲折を経て対応物を同定した。その結果、エネルギーバンド幅に対して、弱磁場極限下における解析的な結果を得ることに成功した。まもなく査読論文雑誌JHEPに掲載予定である。
- ID情報
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- 課題番号 : 18K03657
- 体系的課題番号 : JP18K03657