論文

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2018年

名詞「結果」の用法の拡張―近代語および現代語コーパスの用例より―

社会言語科学
  • 髙橋 圭子
  • ,
  • 東泉 裕子

21
1
開始ページ
255
終了ページ
270
記述言語
日本語
掲載種別
DOI
10.19024/jajls.21.1_255
出版者・発行元
社会言語科学会

<p>現代日本語の「結果」という語には,名詞,副詞句・副詞節の一部,接続助詞的用法,副詞・接続詞的用法にわたる多様な用法がある.本稿においては,近代語および現代語のコーパスを用いて「結果」の諸用法を通時的に観察し,用法拡張の過程について考察した.コーパスの用例調査から得られた知見は次の通りである.(1) 19世紀後半から20世紀初めの近代語コーパスにおいては,「結果」が典型的な名詞用法から副詞句・副詞節の一部,接続助詞的用法に拡張していくさまが観察された.「結果」の前後には多様な形式が接続していた.(2) 20世紀末から21世紀初めの現代語コーパスにおいては,「その結果」「結果的に」「結果として」といった形式が多数を占め,定型化の進行がうかがえる.また,副詞・接続詞的な独立用法も増えている.「結果」に前接・後接する表現の一方もしくは両方が用いられない形式・用法が増加していることがわかった.(3)「結果」の用法拡張および形式の変化は,実質語としての意味の希薄化という意味的変容を伴う場合がある.また,文頭へという位置の変化も注目すべき特徴である.今後の課題として,「結果」のみならず他のさまざまな語についても名詞からの用法拡張について用例調査を行い,異同を考察することが挙げられる.</p>

リンク情報
DOI
https://doi.org/10.19024/jajls.21.1_255
CiNii Books
http://ci.nii.ac.jp/ncid/AA11510423
CiNii Research
https://cir.nii.ac.jp/crid/1390564238058613632?lang=ja
共同研究・競争的資金等の研究課題
投射構文の歴史的発達と構文化について-英語史からの実証研究-
URL
http://id.ndl.go.jp/bib/029394805
ID情報
  • DOI : 10.19024/jajls.21.1_255
  • ISSN : 1344-3909
  • eISSN : 2189-7239
  • CiNii Articles ID : 130007552789
  • CiNii Books ID : AA11510423
  • identifiers.cinii_nr_id : 9000399258099
  • CiNii Research ID : 1390564238058613632

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