2017年4月 - 2021年3月
不飽和多価脂肪酸の認知症周辺症状に対する治療効果について
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
本研究は、認知症の諸問題の中で大きな課題となっている認知症の周辺症状(行動・心理症状)の予測と、有効な治療法の開発を目指している。われわれはこれまで赤血球膜中の不飽和多価脂肪酸濃度は、認知症患者においては(1)認知機能(MMSE)と正の相関を認め、(2)行動・心理症状とは負の相関を認めることを明らかにしてきた。また健常対照群82例を解析し、ApoE4保有の有無や既往症(高血圧、糖尿病、高脂血症など)の有無が不飽和多価脂肪酸濃度に影響することが明らかになった。本年度は認知症重症度の指標として、認知症サポーターキャラバンでも採用されている行動観察方式AOSについて271例の認知症患者を対象に、短縮版の作成を行った。その結果、従来47項目必要とされていた質問を17項目に短縮することが可能であることを明らかにした。このことはより短時間で認知症患者の重症度を判定することができ、臨床のみならず介護場面でのスタッフの負担を軽減することに貢献することが期待されると思われる。
- ID情報
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- 課題番号 : 17K10319
- 体系的課題番号 : JP17K10319