科学への市民参加について、シチズンサイエンスと数物ジェンダー問題を取り上げて議論する。一つ目は、専門家と市民が一緒になって行うプロジェクト「シチズンサイエンス」である。欧米を中心に盛んに行われているが、雷雲プロジェクトを始め日本でも様々なプロジェクトが展開されるようになった。現状と課題を整理し、日本のシチズンサイエンスの特徴を議論する。二つ目は、科学における女性の少なさについて考える。日本は世界的に見ても理系分野に進学する女性が少なく、その傾向は特に数学や物理学で顕著である。なぜ数物系の女性は少なく、また数物の男性的イメージはどのような要因と深く関係するのだろうか。イメージや社会規範など、日本の社会風土に注目して行った研究を紹介しながら、様々なバックグラウンドを持つ人が科学に参加することの意味について議論したい。