基本情報

所属
国立研究開発法人物質・材料研究機構 マテリアル基盤研究センター 材料設計分野 材料モデリンググループ 主任研究員
筑波大学 理工情報生命学術院 数理物質科学研究群 国際マテリアルズイノベーション学位プログラム 准教授
特定国立研究開発法人理化学研究所 革新知能統合研究センター(理研AIP) 客員研究員
学位
博士(工学)(2009年3月 東京大学)

研究者番号
00553760
ORCID iD
 https://orcid.org/0000-0002-8905-2995
J-GLOBAL ID
201901005518643751
Researcher ID
CXE-3155-2022
researchmap会員ID
B000366537

外部リンク

無機固体化学の知識をベースに、実験・計算・データ科学のMaterials Informatics (MI) の研究に取り組んできた研究者です。Starrydataという論文からのデータベース構築プロジェクトを自ら企画・立案し、グラフ画像から十万本以上の材料特性の実験データを収集してデータベースを構築しました。2019年からはCREST研究代表者として、チーム型の新物質探索研究も率いています。高校卒業までの4年間の海外経験と、直観的にわかりやすくするプレゼン、新規分野への挑戦経験や、分野を横断したコミュニケーション経験などを生かして、幅広い研究分野の知識の構造化に取り組んでいます。

B4-M2 (2003.4-2006.3)

東京大学(工学部応用化学科/大学院工学系研究科超電導工学専攻 岸尾研究室)で、MgB2超伝導体の臨界電流特性の改善実験に取り組みました。約350試料の合成とSEM観察、粒径評価などを行いました。その結果、MgB2における支配的な磁束ピンニングセンターが粒界であることをデータで示しました。また、MgB2の磁場中臨界電流特性が改善する原料粉末と組成、合成条件を体系化しました。この時に記した日本語論文は今もMgB2線材開発の基礎としてよく読まれています。卒論発表会で優秀発表賞、修論発表会で藤嶋賞を受賞したほか、応用物理学会で講演奨励賞(2007)を受賞しました。

M2-D3 (2005.4-2009.3)

同じ研究室で新規超伝導体の探索の研究を行いました。マテリアルズ・インフォマティクス(MI)研究の先駆けのような網羅的データ解析を実施しました。結晶構造データベース上の700種類以上の2-3元系金属ホウ化物について、構成元素や局所構造の観察に基づいて結晶構造傾向を体系化しました。

合成前後の微細組織観察と第一原理計算、粉末X線回折(XRD)解析用の独自ソフトウェアの開発、透過型電子顕微鏡(TEM)観察と電子回折像の解析から、Ca1+εCo4B4などの新規ホウ化物を発見しました。また、共同研究者らが発見した新規超伝導体群(ペロブスカイト酸化物層を含む鉄系超伝導体など)について、TEMによる結晶構造の決定に貢献しました。

PD (2009.4-2012.7)

理化学研究所(基幹研究所 高木磁性研究室)の基礎科学特別研究員として、計算と実験から新規超伝導体の探索(ホウ化物, Si化合物など)と、新規熱電材料の探索(Si化合物, 硫化物など)を行いました。熱電特性(ゼーベック係数/電気抵抗率、室温〜700°C)の自動測定装置を開発しました。

さまざまな熱電材料について、第一原理計算とボルツマン輸送方程式から熱電特性のキャリアドープ量依存性を計算しました。これにより、電子構造との関係や、熱電特性の母物質依存性を調査しました。この時の解説記事の連載は、熱電特性の第一原理計算の基礎として今もよく読まれています。また、SnSなどのSn硫化物の熱電材料としての有望性を予測して、IUMRS-ICEM2012の優秀講演賞を受賞しました。

PD (2012.8-2014.7)

東京大学(大学院 理学系研究科 物理学専攻 高木・谷口研究室)の特任研究員として、新規熱電材料探索の研究を続けました。ハイスループット第一原理計算の先駆けの研究を行いました。約400物質の最低熱伝導率の物質依存性の散布図を用いて、熱伝導率が低減できる母物質選択指針を提案しました。この研究により、国際熱電学会(ICT2014)のポスター賞と日本熱電学会の講演奨励賞を受賞しました。

PD (2014.8-2015.7)

東京大学(大学院 工学系研究科 物理工学専攻 押山研究室)の特任研究員として、初めて理論系の研究室に所属する形で、第一原理計算の研究を行いました。Band unfoldingという計算手法を用いて、固溶体熱電材料のバンド構造を可視化する研究に取り組みました。この間、計算科学分野への人脈を広げました。また、芝浦工業大学の非常勤講師として学部1年生向けの化学の講義も行いました。

助教 (2015.8-2020.10)

東京大学(大学院 新領域創成科学研究科 物質系専攻 木村研究室)の助教として、新規熱電材料探索の研究を指導しました。熱電材料の第一原理計算について論文をまとめ、日本熱電学会の論文賞を受賞しました。

2015年、物質・材料研究機構(NIMS)のMI2Iプロジェクトへの参画をきっかけにデータ科学研究に参入しました。論文中のグラフからの大規模実験データ収集プロジェクト(Starrydata)を開始しました。日本熱電学会に熱電特性データベースワーキンググループ(WG)を立ち上げ、賛同者48名を集めて日本の熱電コミュニティへのMIの普及に取り組みました。

Starrydata webシステムを共同開発し、研究費でデータ収集者を雇用することで、世界最大の熱電特性データベースの構築に成功しました。理研AIP、企業・メーカー3社、自動車用内燃機関技術研究組合(AICE)などと共同研究を行い、熱電材料や磁石材料などの大規模論文データのMIを行いました。

この功績で日本熱電学会進歩賞(2019)を受賞しました。また、科学技術・学術政策研究所(NISTEP)が研究者へのアンケートに基づいて全国で10名選定する「科学技術への顕著な貢献2020(ナイスステップな研究者)」にも選ばれました。2019年にはCREST研究代表者(革新材料領域:細野秀雄総括)となり、MIと実験による新規材料探索チームの指揮を始めました。

主任研究員 (2020.11-現在)

物質・材料研究機構(NIMS; 統合型材料開発・情報基盤部門 材料データプラットフォームセンター 材料データベースグループ)において、定年制の研究職に着任しました。CRESTの共同研究を継続し、MIの予測をもとに多数の新規物質の合成に成功して、それらの物性を共著論文で報告してきました。

所内のデータベースプロジェクトに協力するとともに、企業・メーカー4社、企業系財団1件の支援を得ることでStarrydataの研究を継続しています。現在は所属がマテリアル基盤研究センター(材料設計分野 材料モデリンググループ)へと変更されました。IT企業出身のWebエンジニア2名と研究業務員/派遣職員6名(30〜60代)を雇用して、チームでのデータ科学研究に取り組んでいます。

また、筑波大学(理工情報生命学術院 数理物質科学研究科 国際マテリアルズイノベーション学位プログラム)において連携大学院の准教授を兼務し、MIに関する講義と学生指導を行っています。

インタビュー記事

  1. AERA.dot: 家事の手抜きまで理詰めの材料科学研究者(42) 研究も子育ても「完全につながっている」 第20回 材料科学者 桂ゆかりさん(42) 科学に魅せられて~女性研究者に聞く仕事と人生(2023/10/17)
    (こちらの記事は、他の女性研究者のインタビュー記事とともに書籍化していただきました。高橋 真理子 著「科学に魅せられて 女性研究者という生き方」日本評論社 (2024年9月)
  2. 東京大学新聞【卒業生訪問2023】東大卒業生に聞く、職場事情と就活のポイント ②物質・材料研究機構(2023/2/21)
  3. ナイスステップな研究者から見た変化の新潮流 国立研究開発法人物質・材料研究機構 統合型材料開発・情報基盤部門 主任研究員 桂 ゆかり 氏インタビュー -論文から過去の実験データを集めることで 大規模材料物性データベースを構築-(2021/11/25)

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