2018年4月 - 2022年3月
大西洋・太平洋熱帯域における海盆間大気海洋相互作用のミッシングリンク解明
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 基盤研究(B)
本研究は、経年から数十年規模の熱帯大西洋-太平洋間相互作用の要因とそれらの気候影響の解明を目指している。2018年度は、 (1) 春季における赤道太平洋・熱帯北部大西洋の相互作用の解明、および (2) 夏季における赤道太平洋・赤道大西洋の相互作用の解明を目指し, 研究を実施した。
(1) に関しては、大気海洋結合モデルを用いて全球海洋に観測された海面水温偏差を与える実験と、熱帯大西洋あるいは熱帯太平洋から海面水温偏差を除去した実験の計3種類の感度実験を行った。その結果、熱帯北部大西洋の海面水温偏差は冬季に熱帯太平洋のエルニーニョ・南方振動 (ENSO) によって形成され始めるのに対し、その後は逆に赤道太平洋上の東西風偏差を弱めることによってENSOの終息を早める効果を持つことが明らかになった。熱帯大西洋から熱帯太平洋への影響については国際的にも注目されており、本成果はENSO予測の精度向上を目指す上で重要な意義を持つ。
(2) に関しては、ENSOの持続性が夏季に卓越する大西洋ニーニョ現象へ及ぼす影響について調べた。本研究では、複数年連続で発生するENSO イベントのみに注目すると、東部太平洋上に中心を持つウォーカー循環の偏差が春季に熱帯大西洋の大気下層に西風偏差をもたらし、それがビヤークネスフィードバックを介して夏季の大西洋ニーニョ現象を励起させることを明らかにした。ENSO と大西洋ニーニョ現象は互いに独立なモードであると考えられてきたため、本成果で熱帯太平洋から熱帯大西洋への影響を明らかにできたことは、(1) の成果も踏まえると季節を超えた両海盆間の双方向相互作用が存在することを示唆している。
(1) に関しては、大気海洋結合モデルを用いて全球海洋に観測された海面水温偏差を与える実験と、熱帯大西洋あるいは熱帯太平洋から海面水温偏差を除去した実験の計3種類の感度実験を行った。その結果、熱帯北部大西洋の海面水温偏差は冬季に熱帯太平洋のエルニーニョ・南方振動 (ENSO) によって形成され始めるのに対し、その後は逆に赤道太平洋上の東西風偏差を弱めることによってENSOの終息を早める効果を持つことが明らかになった。熱帯大西洋から熱帯太平洋への影響については国際的にも注目されており、本成果はENSO予測の精度向上を目指す上で重要な意義を持つ。
(2) に関しては、ENSOの持続性が夏季に卓越する大西洋ニーニョ現象へ及ぼす影響について調べた。本研究では、複数年連続で発生するENSO イベントのみに注目すると、東部太平洋上に中心を持つウォーカー循環の偏差が春季に熱帯大西洋の大気下層に西風偏差をもたらし、それがビヤークネスフィードバックを介して夏季の大西洋ニーニョ現象を励起させることを明らかにした。ENSO と大西洋ニーニョ現象は互いに独立なモードであると考えられてきたため、本成果で熱帯太平洋から熱帯大西洋への影響を明らかにできたことは、(1) の成果も踏まえると季節を超えた両海盆間の双方向相互作用が存在することを示唆している。
- ID情報
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- 課題番号 : 18H01281
- 体系的課題番号 : JP18H01281