2017年4月 - 2021年3月
日本手話における文末指さしの指示対象に関する統語研究
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
令和元年度は,以下「7.現在までの進捗状況」に記載した事由によって,研究代表者の研究計画最終年度の研究進行・実施が滞った。研究分担者による研究及び前年度までの研究による現在までの研究実績の概要は以下の通りである。これまでに日本手話母語話者の協力のもと,文末指さしを含む日本手話文のデータを収集してきた。特に,研究体制として設定した二つの研究グループのうち,「話題要素担当グループ」によるデータに注目して,調査・分析を行ってきたところ,当初設定した「非項/陰在的項担当グループ」の研究課題に対して,以下に述べるようなことが明らかとなった。つまり,本研究計画の当初の設定課題について,日本手話の文末指さしを含む文が非項・陰在項の存在を示すかどうかという問題は,文末指さしが話題要素を指示対象とする文の統語特性に関する問題と,並行して扱うことは適切でないと分かった。
「話題要素担当グループ」はこれまでに,文頭に話題化非手指標識を伴う要素と,その要素を指示対象とする文末指さしの両方を含む文が,日本手話母語話者にとって自然であると判断される文を,収集してきた。その際,文末指さしの持つ音韻特性と音声言語の接語との類似性が先行研究によっても指摘されていることから,音声言語の関連先行研究も参考にすることとした。データ収集にあたっては,文末指さしと話題要素を含む文が文法的かつ談話上適切であるような文脈を設定する必要があるが,日本手話母語話者の協力により,幾つかの文脈を設定することができた。得られたデータから,文末指さしの指示対象となる話題要素名詞句の話題性・定性・特定性等,指示素性に関して調査・分析中である。
「話題要素担当グループ」はこれまでに,文頭に話題化非手指標識を伴う要素と,その要素を指示対象とする文末指さしの両方を含む文が,日本手話母語話者にとって自然であると判断される文を,収集してきた。その際,文末指さしの持つ音韻特性と音声言語の接語との類似性が先行研究によっても指摘されていることから,音声言語の関連先行研究も参考にすることとした。データ収集にあたっては,文末指さしと話題要素を含む文が文法的かつ談話上適切であるような文脈を設定する必要があるが,日本手話母語話者の協力により,幾つかの文脈を設定することができた。得られたデータから,文末指さしの指示対象となる話題要素名詞句の話題性・定性・特定性等,指示素性に関して調査・分析中である。
- ID情報
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- 課題番号 : 17K02691
- 体系的課題番号 : JP17K02691
この研究課題の成果一覧
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論文
2-
日本手話言語学のトピック 基礎から最前線へ 113-144 2023年2月 査読有り
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言語科学研究 (27) 23-45 2021年3月 査読有り
講演・口頭発表等
2-
日本言語学会第162回大会 2021年6月26日
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日本英文学会第93回大会シンポジアム 2021年5月22日