2019年6月
【胆膵内視鏡トラブルシューティング-こうやって切り抜けろ-】ERCPに関連した後腹膜穿孔の原因、治療方針、予防について
胆と膵
- 巻
- 40
- 号
- 6
- 開始ページ
- 473
- 終了ページ
- 478
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 出版者・発行元
- 医学図書出版(株)
Endoscopic retrograde cholangiopancreatography(ERCP)は肝胆膵疾患の診断と治療に不可欠な手技となり、ERCPを応用したさまざまな手技が活用されている。一方、ERCPの偶発症はときに重篤化し致命的な転帰となるため慎重を要す手技である。ERCPの偶発症のなかでも後腹膜穿孔は死亡率が高く、その診断、治療方針、予防が重要である。ERCP関連後腹膜穿孔の主な原因は、乳頭部穿孔ではESTの過長切開や不適切な切開方向、胆管穿孔では砕石処置具の挿入、膵管穿孔ではカテーテル操作、十二指腸穿孔ではファイバーの挿入による損傷である。後腹膜穿孔を疑う際にはファイバーを抜去する前に保存的加療を考慮して胆道ドレナージをできる限り挿入し、ERCP直後にCT検査を行い後腹膜液体貯留の程度を確認する。CTで後腹膜に液体貯留を認め、かつ発熱や疼痛のある症例は緊急手術を行う。後腹膜気腫のみ、もしくは少量の液体貯留のみで無症状の症例は保存的加療を行い経時的に疼痛や液体貯留をフォローし、腹部所見および画像所見の悪化がある際は緊急手術を考慮する。十二指腸をファイバーで完全に貫いて後腹膜穿孔をきたした症例は当初より緊急手術を考慮する。(著者抄録)
- ID情報
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- ISSN : 0388-9408
- 医中誌Web ID : T701600003