共同研究・競争的資金等の研究課題

2006年 - 2007年

BMPによる骨芽細胞の分化誘導におけるエピジェネティック制御機構の解明

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
18592048
体系的課題番号
JP18592048
配分額
(総額)
3,980,000円
(直接経費)
3,500,000円
(間接経費)
480,000円

マウス筋芽細胞株C2C12に骨誘導因子BMP-2を処理し、骨芽細胞へ分化を誘導する系を用い、(1)未分化な状態、(2)rhBMP-2(recombinant human BMP-2)を400ng/ml処理し4日間培養、(3)rhBMP-2無処理で4日間培養の3点で細胞からRNAを抽出後、マイクロアレイ解析により遺伝子発現様式の網羅的解析を行った。その結果、gremlinにBMP-2処理による遺伝子発現の低下が認められた。gremlin(別名、downregulated by v-mos:drm)はdan(differential-screening selected gene aberrative in neuroblastoma)ファミリーに属するBMP活性阻害物質で、生体内におけるBMPシグナルを介した様々な細胞の分化、増殖に重要な作用を有することが知られている。gremlinの遺伝子発現レベルの低下はBMP-2の処理濃度および時間に依存し、骨芽細胞の分化様式と一致していた。さらにマウス骨芽細胞様細胞株MC3T3-E1においても同様の現象が認められた。C2C12細胞の骨芽細胞分化誘導系におけるGremlinの作用解析を行ったところ、rmGremlin(recombinant mouse Gremlin)を1600ng/ml処理することにより、rhBMP-2によるアルカリホスファターゼ活性の上昇がほぼ完全に抑制された。以上の結果から、BMP-2シグナルはBMP活性阻害物質Gremlinの発現を抑制することにより、骨芽細胞分化誘導を制御していることが示唆された。ヒトgremlin遺伝子プロモーター領域にはCpGアイランドが存在し、DNAメチル化によるエピジェネティックな遺伝子発現制御が行なわれている(Suzuki M et. al, Britishi J. Cancer, (2005)93, 1029-1037)。BMP-2によるgremlinの発現抑制機構がDNAメチル化によるものかどうか、今後の検討課題である。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-18592048
ID情報
  • 課題番号 : 18592048
  • 体系的課題番号 : JP18592048