2019年4月 - 2023年3月
数値流体力学によるシミュレーションを用いたオーダーメイド動注化学療法の開発
日本学術振興会 科学研究費助成事業 若手研究 若手研究
前年度の研究成果を基に学術雑誌への論文投稿を計画していたが、それに向けて計算格子の妥当性の再検証が必要と判断したため、それらのMesh Qualityの評価を行った。結果として当初の計算格子(tetra meshをコアとして、その外周にprism meshが4~7層からなるtetra-prism mesh)で追跡している現象を十分に解像可能で、かつ計算コストも許容範囲内であることが分かった。次いで、前年度の研究の続きとして本年度も外頸動脈から舌動脈と顔面動脈が共通幹を成して分岐している症例の医用画像を用いて、カテーテルが留置された状態を再現した解析モデルを作成し、動注化学療法時の血液と抗癌剤の分布について流体解析を行った。前年度の口腔癌患者2例に追加して別の患者の医用画像から解析モデルを作成した。同モデルの流体解析の結果は、舌・顔面動脈の共通幹内にカテーテルが留置されている解析モデルにおいて顔面動脈への抗癌剤の分配比が100%を示した。これは、2020年度に実施した解析(H Kitajima, et al., Applied Science, 2020)と同様の傾向であった。しかし、以前の解析モデルにおいては舌・顔面動脈の共通幹が短く、かつ外頸動脈からの分岐角が大きいため、総頸動脈および外頸動脈から顔面動脈に向かう血流がカテーテルを被覆するような流れ場であったのに対して、今回の解析モデルでは共通幹の分岐角は小さく、また共通幹の長さは長い形状を有する。従って抗癌剤の分配比の規定因子(の一つ)は共通幹の分岐角であるという今までの知見を覆す結果となった。
- ID情報
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- 課題番号 : 19K19240
- 体系的課題番号 : JP19K19240
この研究課題の成果一覧
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論文
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Applied Sciences 10(21) 7496-7496 2020年10月25日 査読有り筆頭著者