2020年4月 - 2023年3月
「気になる妊産婦」の捉え方と虐待予防連携ーハイブリッドモデルを用いた概念分析ー
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
令和3年度は児童虐待予防の視点から保健師と助産師が捉えた「気になる妊産婦」の様相を明らかにすることを目的に、保健師10名と助産師10名のインタビュー内容を質的帰納的分析方法を用いて分析を進めた。保健師と助産師の「気になる妊産婦」の捉え方に焦点をあて、双方の視点の特徴を検討した。このことは、支援を必要とする妊産婦を見逃さず、保健師と助産師が連携して妊娠早期からの虐待予防支援を促進するための手がかりになると考える。保健師と助産師が捉えた「気になる妊産婦」の様相として、両者は概ね共通していた項目もみられたが、保健師は妊産婦の生活背景や生活を基盤とした養育力や養育環境に着目し、安定的な暮らしの中で育児を見据えた視点を持つのに対して、助産師は安全な出産を迎えるための母体の健康管理や胎児や児の安定的な養育スキルに着目し、母子の生命と健康維持のための妊産婦自身が持つセルフケア力への視点が特徴として明らかになった。保健師と助産師における「気になる妊産婦」の捉え方の特徴には、それぞれの職種の専門性における強みを生かした対象者把握の視点と「気になる妊産婦」を支援対象者として両者が共通の視点を持っていることが明らかになった。両者が持つ視点からの対応が児童虐待予防に重要であると考えられる。また保健師と助産師が支援の必要な妊産婦に早期に気づき、支援を行う際の両者の連携内容についても、あわせて分析を進めている。今後は、児童虐待予防において、保健師や助産師が妊産婦に対する支援の必要性をどのような点から判断し、支援につなげるのか、具体的な実践モデルとして構築していく必要がある。
- ID情報
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- 課題番号 : 20K11148
- 体系的課題番号 : JP20K11148
この研究課題の成果一覧
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論文
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日本公衆衛生雑誌 68(6) 425-432 2021年6月15日 査読有り筆頭著者