共同研究・競争的資金等の研究課題

2021年4月 - 2023年3月

機械学習と物理モデルを用いた原始星円盤形成の観測的研究 -解析手法の開発と実践-

日本学術振興会  科学研究費助成事業 若手研究  若手研究

課題番号
21K13954
体系的課題番号
JP21K13954
配分額
(総額)
4,680,000円
(直接経費)
3,600,000円
(間接経費)
1,080,000円

本研究課題の目的は、原始星円盤の形成過程の観測的研究において、機械学習および深層学習を導入することで、データがもつ情報を最大限に引き出すための新たな解析手法の開発・実践・検証を行うことである。データ解析に有効な手法の候補として、主成分分析 (PCA)、サポートベクトルマシーン (SVM)、三次元畳み込みニューラルネットワーク (3DCNN) を導入した解析を行った。解析には、国際共同大型電波干渉計アルマ (ALMA) による観測データを使用した。
教師なし機械学習の一種であるPCAを、ALMAで観測した23本の分子輝線データに適用した。この手法を三次元のデータに適用することで、分子輝線の分布に加えて、速度構造の情報を活用して、無バイアスに分類することに成功した。この結果をもとに、分子種の違いによる分布・速度構造への影響を指摘した。
教師あり機械学習の一種であるSVMおよび教師あり深層学習の一種である3DCNNを用いて、速度構造を判別するモデルを作成した。教師データとして、二種類の異なる速度構造をもつ物理モデル (回転支持円盤とエンベロープガス) の擬似観測データを作成した。SVM, 3DCNNのいずれを導入したモデルも、テスト用の擬似観測データに対して高い汎化性能を示した。学習済みのモデルを実際のALMAデータに適用し、観測された分子輝線の速度構造の判別を実施した。その結果、多くの分子輝線が円盤・エンベロープの両構造を捉えるのに対し、一部の分子輝線が円盤構造を選択的に捉えるトレーサーの役割を果たすことを見出した。
以上の成果は、国内外の学会で発表するとともに、学術論文として報告する予定であり、一部はすでに出版済みまたは投稿中である。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-21K13954
ID情報
  • 課題番号 : 21K13954
  • 体系的課題番号 : JP21K13954