2003年3月
能楽堂の誕生
表象文化論研究
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プレプリント・著者最終稿
回数 : 712
- 巻
- 号
- 2
- 開始ページ
- 128
- 終了ページ
- 143
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 研究論文(大学,研究機関等紀要)
建物内にさらに屋根のある能舞台が設置される劇場内劇場という構造の「能楽堂」の嚆矢は、明治14年に建設された芝能楽堂であった。本稿はこの芝能楽堂の設立のプロセスと背景とを探るべく、事業の中心人物であった岩倉具視や久米邦武を中心とした同時代の言説を分析した。これにより、この出来事を介して、かつて幕府の式楽であり明治維新によっていったんは崩壊した「猿楽」が、西洋の「オペラ」に相当する日本固有の歌舞たる「能楽」として自らを再形成し、新たな社会環境に適応しようとしたことを明らかにした。
- ID情報
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- ISSN : 1348-5423