論文

査読有り
2018年9月

ARCS動機づけモデルに基づく拡張現実技術を応用したゲーミフィケーションの評価

Evaluating gamification that utilizes augmented reality technology based on ARCS Model of Motivation
  • 米本和弘

開始ページ
356
終了ページ
363
記述言語
日本語
掲載種別
研究論文(国際会議プロシーディングス)
出版者・発行元
カナダ日本語教育振興会

本発表では,日本語学習の一環として行われる活動をゲーミフィケーション(Kim et al, 2018)の考えに基づき改善した効果をARCS動機づけモデル(Keller, 2010)の観点から検討,評価することを目的とする。改善の背景には,従来から行われていたこれらの活動が日本語学習や実際の言語使用とは切り離されたり,もしくは教員からの一方向の知識,技術の伝達となったりしてしまっているのではないかという問題意識があった。
改善を試みたのは,レストラン場面における会話の学習と博物館における課外活動である。具体的には,学習意欲を高めることを目的としたゲーミフィケーションの考えを参照しながら,拡張現実環境を作り出すことができるアプリケーションであるARISを用い,自律的な学習ができるよう再設計した。活動後に学習者に自由記述式の質問紙調査を行い,ARCS動機づけモデルの観点から分析を行った。
データ分析の結果,改善後の実践においては,その場における学習を新たに生み出したり,焦点化させたり,さらには主体的な活動を促したりするなど,ゲーミフィケーションと拡張現実の特徴を反映し,注意,関連性,自信,満足感というARCS動機づけモデルのそれぞれの観点において肯定的に評価されていた。この点において,拡張現実を用いたゲーミフィケーションは学習意欲を高めるものとなったことが示唆された。その一方で,アプリケーションの不具合や制約などから,注意を削ぐ場面も見られ,アプリケーションの機能を生かせる改善が必要であることも窺われた。

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