2020年7月
口腔咽頭カンジダ症に対するミコナゾール口腔粘膜付着錠とミコナゾールゲル剤との比較
Medical Mycology Journal
- 巻
- 61
- 号
- 3
- 開始ページ
- 53
- 終了ページ
- 61
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 研究論文(学術雑誌)
- 出版者・発行元
- (一社)日本医真菌学会
SO-1105(販売名:オラビ錠口腔用50mg,以下本剤)は,1錠中にミコナゾールを50mg含有する口腔粘膜付着錠であり,口腔咽頭カンジダ症の治療において1日1回投与で持続的に抗真菌作用を示すことが確認されている.今回,わが国において本剤の第III相臨床試験を実施したので,その結果を報告する.対象は,年齢20歳以上の口腔咽頭カンジダ症患者で,口腔咽頭カンジダ症の特徴とされる口腔病変を有し,直接鏡検にて真菌が確認された者を被験者とした.試験デザインは,ミコナゾールゲル剤を対照薬として,多施設共同,非盲検,ランダム化,実薬対照,並行群間比較,投与期間は14日間とした.有効性の主要評価項目は,Day15での治癒率,解析対象集団はPer Protocol Set(PPS)とした.結果,被験者の内訳は,PPSが120例(本剤群59例,ミコナゾールゲル剤群[ゲル剤群]61例)であった.性別は,本剤群では男性42.4%,女性57.6%,ゲル剤群では男性36.1%,女性63.9%であり,年齢の平均値は,本剤群66.3歳,ゲル剤群68.4歳であった.有効性は,Day15での治癒率が本剤群47.5%,ゲル剤群47.5%であり,両群間で同じであった.安全性は,副作用発現率が本剤群29.0%,ゲル剤群24.6%であり,両群間で同様であった.本剤の有効性はミコナゾールゲル剤くらべて同程度であるものの,剤形は付着錠で,1日1回投与であることから,服薬アドヒアランスの改善が可能で,高齢者などにも有用な薬剤といえる.よって本剤は,口腔咽頭カンジダ症の治療薬の1つとして臨床現場で広く供されるものと考えられる.(著者抄録)
- ID情報
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- ISSN : 2434-5229
- 医中誌Web ID : 2020373858