2019年4月 - 2022年3月
凍結および真空乾燥ヒト羊膜を利用した新規呼吸器外科領域被覆材の創製
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
- 課題番号
- 19K09290
- 体系的課題番号
- JP19K09290
- 担当区分
- 研究代表者
- 配分額
-
- (総額)
- 4,290,000円
- (直接経費)
- 3,300,000円
- (間接経費)
- 990,000円
- 資金種別
- 競争的資金
羊膜は出産後に通常廃棄されるが、再生医療分野での新しい生体由来の素材として応用され始めている。一方で、呼吸器外科領域での使用を目的とした研究や報告はほぼ皆無である。本研究では、当施設の羊膜バンク(カテゴリーI)との共同研究により、羊膜の抗炎症、組織修復、癒着防止作用に着目し、呼吸器外科領域での有効性を検証する。具体的な研究内容として、動物モデルを用いてA)胸膜の修復用材としての有効性、B)気管、気管支再建部の被覆用材としての有効性に関する2つの課題を達成したい。さらにA) B)のモデルにおいて、-80℃で保存された基質羊膜、液体窒素に保存された細胞成分の残った羊膜、真空凍結乾燥によって保存された乾燥羊膜の効果を比較したい。本研究では、羊膜の体腔臓器内での動態や生体反応に関する基礎的かつ重要なデータを採取できる。その結果、近年増加している悪性胸膜中皮腫に対する胸膜剥皮術後に起こる胸膜の広範欠損のみならず、骨髄移植後や肺移植待機患者に起きる致死的なair leak syndromeへの全肺被覆用材として、さらには気胸を含む通常の呼吸器外科手術時の胸膜損傷に対する部分的な胸膜被覆、気管・気管支吻合部の創傷治癒促進など、呼吸器外科分野における再生医療への臨床応用が可能となる。
本年度は、ラットの開胸胸膜癒着モデルを作成し、肺表面に-80℃で保存された気質羊膜を張り、癒着防止効果を調べた。ラットを用いて動物実験計画書の通りに壁側胸膜焼灼モデルで癒着モデルを作製し、良好に癒着モデルができた。しかし病理学的に一部に癒着が軽度の部分がみられたが、有意とはいえず、ヒト羊膜を被覆しても癒着防止効果はなかった。羊膜付着部には強い炎症性癒着があり、焼灼によるものの他に異物反応による癒着の可能性も考えられた。ラットの呼吸運動による胸膜のスライドの距離が短いことから、ラットモデルでは癒着の防止効果は少ないと判断した。
本年度は、ラットの開胸胸膜癒着モデルを作成し、肺表面に-80℃で保存された気質羊膜を張り、癒着防止効果を調べた。ラットを用いて動物実験計画書の通りに壁側胸膜焼灼モデルで癒着モデルを作製し、良好に癒着モデルができた。しかし病理学的に一部に癒着が軽度の部分がみられたが、有意とはいえず、ヒト羊膜を被覆しても癒着防止効果はなかった。羊膜付着部には強い炎症性癒着があり、焼灼によるものの他に異物反応による癒着の可能性も考えられた。ラットの呼吸運動による胸膜のスライドの距離が短いことから、ラットモデルでは癒着の防止効果は少ないと判断した。
- ID情報
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- 課題番号 : 19K09290
- 体系的課題番号 : JP19K09290