共同研究・競争的資金等の研究課題

2018年4月 - 2021年3月

慢性閉塞性肺疾患での情動系神経ネットワークの解析と身体活動性低下との関連性の解明

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
18K08186
配分額
(総額)
2,340,000円
(直接経費)
1,800,000円
(間接経費)
540,000円

慢性閉塞性肺疾患(COPD)は全身性疾患と認識され、多方面からの病態解明が進んでいる。しかし、COPDの中枢に関する検討は少なく、行動科学的な治療の介入を支持する神経生理学的基盤の構築はこれからの課題である。本研究は安静時磁気共鳴画像(fMRI)の手法を用いて、慢性的な呼吸困難を主症状にもつ(COPD)において、情動に関連する脳領域間の機能的結合性を検証するものである。これまでに対照群である年齢が一致した健常高齢者30例及びCOPD患者10例において安静時fMRIの撮像を行った。COPDとの比較を行う前に、健常者のデータを用いていくつかの解析を試みた。安静時fMRIでは心拍動と呼吸運動などの生理的ノイズの影響を受けるため、まず健常者30例において生理ノイズの除去の有無が辺縁系領域の結合性に与える影響を検証した。生理ノイズの除去により辺縁系領域、特に両側の海馬-海馬傍回との結合性、左海馬傍回-左前頭葉との結合性が高まることを確認した。また健常者30例において認知機能を検査するMini-Mental State Examination(MMSE)と結合性との関連性を解析したところ、MMSE高群(認知機能が高い群)では左海馬傍回と左扁桃体、および左海馬傍回と右扁桃体の結合性がMMSE低群と比較し高いことが示された。現在、COPDにおいて健常者と同解析を開始し、健常者といかに異なるか、またCOPDで測定した呼吸困難のレベル、活動性との相関性を検証する予定である。これにより、本研究課題の核心をなす学術的「問い」である「COPDの患者は情動に関連する脳領域間の機能的結合性が高いのか?」について答えを出したい。

ID情報
  • 課題番号 : 18K08186