共同研究・競争的資金等の研究課題

2019年4月 - 2022年3月

偽ニュース:誰が信じ,広めるのか?

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
19K03194
体系的課題番号
JP19K03194
配分額
(総額)
4,420,000円
(直接経費)
3,400,000円
(間接経費)
1,020,000円

本年度は,陰謀論やフェイクニュースの信奉と関連の深い,超常現象や疑似科学への信奉に関する研究成果を整理した学術論文を公表した (Majima, Walker, Turpin, & Fugelsang, 2022)。この論文では,これまでこの領域で示されてきた,熟慮的・分析的思考と信念の間に見られる負の関連が,必ずしも文化普遍的な傾向ではないのでは,という問いに基づき,超常および疑似科学的な主張,および深遠そうに見える戯言 (pseudo-profound bullshit) に対する受容と,思考スタイルとの関連を,日本および西洋文化圏の参加者で比較した。その結果,西洋文化圏では,分析的思考が非合理的信念を抑制する方向に働くのに対して,日本人参加者では,そのような関連性は見られず,分析的思考は信念を抑制しないことが明らかとなった。この点について,本代表者は,特定の信念や主張が,それぞれの文化の思考の規範を侵害する程度の差によるものと考えている.
また,これとは別に,(特に)オンライン研究では,倫理面およびデータの妥当性を高めるという観点から,より参加者への負担が少ない調査・実験を整備することの重要性が指摘されているため,陰謀論信念をより簡便に測定するための尺度として,5項目からなる陰謀論的心性尺度 (Conspiracy Mentality Questionnaire, CMQ; Bruder et al., 2013)の日本語版の整備を行った.日本語版CMQは,概ね原版と同様の傾向を示すことが示されたが,一部,先行研究とは異なる結果も得られており,それが尺度自身に起因する問題なのか,陰謀論の信奉における文化差の問題であるのかについて,今後検討する必要性があることも明らかとなった.

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-19K03194
ID情報
  • 課題番号 : 19K03194
  • 体系的課題番号 : JP19K03194