共同研究・競争的資金等の研究課題

2019年4月 - 2021年3月

国際財務報告基準(IFRS)が企業へ与える実体効果(Real effects)

日本学術振興会  科学研究費助成事業 特別研究員奨励費  特別研究員奨励費

課題番号
19J10933
体系的課題番号
JP19J10933
配分額
(総額)
2,300,000円
(直接経費)
2,300,000円
(間接経費)
0円

国際財務報告基準(IFRS)を任意適用する日本企業の数は, 2020年末時点で200社を超え, 時価総額ベースでは東証上場企業の40%程度を占めるなど, その経済的インパクトの大きさは学術研究および実務双方において, 極めて重要なレベルになっている。本研究では, IFRSの任意適用を行った日本企業に着目し, IFRS任意適用が企業に与える実体効果 (Real effects) について検証している。2020年度は主に以下2つのテーマについて研究を行った。
(1) IFRS任意適用前後の無形資産計上額の変化:本研究では無形資産に関する会計処理が日本基準とIFRSで異なることに着目し, 日本のIFRS任意適用企業の無形資産計上状況のIFRS適用前後での変化を検証した。分析の結果, IFRS適用企業はIFRS適用後に非適用企業に比較して無形資産を増加させていること, その要因としてM&Aの件数および金額の増加が挙げられることが明らかになった。
(2) のれんの会計処理が企業行動へ与える影響:また博士論文においては, IFRSと日本基準における「のれん」の会計処理の相違が日本企業の会計基準選択, 合併・買収(M&A), のれん減損損失認識という3つの行動へ与える影響について分析を行った。その結果, のれん対総資産比率が高い企業ほどIFRSを任意適用する可能性が高いこと, IFRS適用企業の実施するM&AはIFRS適用後に高額かつ低収益となっていること, IFRS適用後にのれんの減損認識の遅延が加速された可能性があることが明らかになった。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-19J10933
ID情報
  • 課題番号 : 19J10933
  • 体系的課題番号 : JP19J10933