症例は初診時10歳男児で、近在歯科医院のパノラマX線で両側下顎小臼歯部に埋伏過剰歯を認めたため精査加療目的で当科に紹介された。埋伏過剰歯は低位に埋伏していたため、近在歯科医院で経過観察する方針となった。16歳時に左側下顎第一小臼歯部舌側の疼痛を認め、再度当科を受診した。パノラマX線で上下顎に多数の埋伏過剰歯を認め、CT検査で上下顎に合わせて癒合歯2本を含む14本の埋伏過剰歯を認めた。このうち両側下顎第一小臼歯部舌側の埋伏過剰歯については萠出傾向にあり、今後歯列に悪影響を及ぼすと考えられたため局所麻酔下に抜去した。他の埋伏過剰歯はまだ顎骨内で低位に埋伏しており、歯根も十分に形成されていないことから経過観察の方針とした。20歳時に咬合時の違和感を自覚するようになり、再度当科を受診した。CT検査で埋伏過剰歯はすべて歯根が形成され、歯槽頂側に移動していたため、すべての埋伏過剰歯を全身麻酔下に抜去し、術後経過良好であった。