吉田 叡禮

中国における華厳思想とその展開に関する研究を中心に、日本、高麗、遼など周辺地域を含む東アジア全体の仏教思想、およびその他の諸思想が、社会情況と有機的に連関しながら変革していく様相を、思想史的立場から解明する研究を行っている。
この研究は、特に中国唐代と宋代の仏教教理、乃至その思想を比較することを通して、安史の乱、そして唐王朝の滅亡を機に社会状況が変革していく中で、仏教思想も変革し、日常性に即して真理を顕現することを重んじる禅宗が発展していくのと同様、教理も変革していくことを明らかにし、その過程を社会史学などの成果を参照しながら思想史的に跡付け、禅も教理も、その他の社会状況や政治思想と共に連動しつつ、大きく変わっていくという思潮の大流を明らかにすることを目的としている。