私達の研究分野は食品に関するバイオテクノロジーであり、食品製造や食品加工さらに食品の健康促進作用に関する様々な問題を解決する潜在的な可能性を秘めています。そのなかでも糖質関連酵素やプロテアーゼ、リパーゼ、植物の二次代謝産物の生合成に関与する酵素などの食品加工用酵素の多くを取り扱っています。私達は食品用酵素として望ましい特異的な作用を触媒する新しい酵素の単離とその酵素化学的諸性質の解明に精力的に取り組んでいます。また、単離した酵素による食品添加物の製造し、その生物活性を解明することも行っています。最近の研究結果として、緑藻のβ-1,3-キシランを分解するβ-1,3-キシラナーゼを新たに単離し、その分解産物であるβ-1,3-キシロオリゴ糖がHL 60培養細胞に対して抗腫瘍活性を有することを明らかとしました。
機能性食品や栄養強化食品も食品バイオテクノロジーの重要な課題です。機能性食品は私達の健康維持に有益な食品であり、食品中に含まれる特異的な化合物が健康促進効果に関与しています。したがって、私達は食素材である様々な植物から各種化合物を単離して食品添加物としての応用を視野に生物活性の検討を行っています。その結果、ヨーロッパ産ハーブの一種であるマートル(Myrtus communis) の葉および実の粗抽出物中に非常に強い抗腫瘍活性と抗酸化活性を見出しました。現在、これらの活性に関与する化合物の単離とその構造解析が進行中です。
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Fig. 1 Effects of β-1,3-xylobiose on apotosis induction of HL 60 cells. Chromatin condensation was observed by Hoechst stain.
β-1,3-キシロビオースによるHL 60培養細胞に対する
アポトーシス誘導効果。ヘキスト染色によりクロマチン の凝集が観察される。
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Fig. 2 European herb myrtle (Myrtus communis).
ヨーロッパ産ハーブの一種マートル (Myrtus communis)
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Selected Publications.
Shimokawa, T., et.al.: Effects of growth stage on enzymatic saccharification and simultaneous saccharification and fermentation of bamboo shoots for bioethanol production. Biores. Technol., in press
Duhita, N. et al.: Single-step purification of native miraculin using immobilized metal-affinity chromatography. J. Agric. Food Chem., 57, 5148-5151 (2009).
Shimokawa, T. et al.: Purification, molecular cloning, and enzymatic properties of a family 12 endoglucanase (EG-II) from Fomitopsis palustris: Role of EG-II in larch holocellulose hydrolysis. Appl. Environ. Microbiol., 74, 5857-5861 (2008).
Watanabe, S. et al.: Cloning, expression, and transglycosylation reaction of Paenibacillus sp. strain W-61 xylanase 1. Biosci. Biotech. Biochem., 72, 951-958 (2008).
Li, S. et al.: Characterization of raffinose synthase from rice (Oryza sativa L. var Nipponbare). Biotechnol. Lett., 29, 635-640 (2007).