2018年4月 - 2021年3月
人工物が野生復帰コウノトリに与える負の効果解明と対応策検討~人間活動の光と影
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
円山川流域の河川、水田およびビオトープを対象に、コウノトリの主要な餌動物の分布・生息状況および生息要因について調査した。河川では、在来種であるイシガメの生息域が限定されることや、汽水性ハゼ類の主要ハビタットとして水際の緩傾斜砂底が重要であることが示唆された。水田では、魚類遡上数には水田魚道上端部の堰板の形状および越流水深が寄与していることが明らかになった。水田ビオトープでは、敷設された魚道への秋季通水により、コウノトリの餌動物であるタモロコなどの魚類が遡上することを見出し、魚道への秋季通水は、コウノトリにとっても有用であることが示唆された。また、ビオトープにおける除草や浅瀬や深場の創出等の人為的な管理は、ゲンゴロウ類等の水生動物のハビタットを創出、維持し、コウノトリが採餌場所として機能することが示された。
過去14年間(2006年~2019年)のコウノトリ繁殖つがいの造巣場所163例について、人工物との関係を整理した結果、電気事故と負傷事故が起こりえる危険な場所である人工物「電柱・鉄塔」を営巣場所として選択する傾向がみられた。また、過去14年間(2005年~2018年)のコウノトリの救護・死亡事例105例について死亡要因を分析した結果、「防獣ネット等の鳥獣対策資材」「送電線等の電気関係設備」に関する事故が2大要因であることが明らかになった。さらに、当年度中の救護個体7個体の健康状態の確認、死亡個体9個体の死因の特定を行ったが、致死に至る胃内人工物は確認されなかった。一方で、食道および胃内容物からは、ドジョウ、トノサマガエル、コオイムシ、トンボ目幼虫、コガムシなどの水生動物が検鏡されたことから、これらの止水性水生動物群集の生息場所となる湿性環境の創出が重要であることが示唆された。
過去14年間(2006年~2019年)のコウノトリ繁殖つがいの造巣場所163例について、人工物との関係を整理した結果、電気事故と負傷事故が起こりえる危険な場所である人工物「電柱・鉄塔」を営巣場所として選択する傾向がみられた。また、過去14年間(2005年~2018年)のコウノトリの救護・死亡事例105例について死亡要因を分析した結果、「防獣ネット等の鳥獣対策資材」「送電線等の電気関係設備」に関する事故が2大要因であることが明らかになった。さらに、当年度中の救護個体7個体の健康状態の確認、死亡個体9個体の死因の特定を行ったが、致死に至る胃内人工物は確認されなかった。一方で、食道および胃内容物からは、ドジョウ、トノサマガエル、コオイムシ、トンボ目幼虫、コガムシなどの水生動物が検鏡されたことから、これらの止水性水生動物群集の生息場所となる湿性環境の創出が重要であることが示唆された。
- ID情報
-
- 課題番号 : 18K11729
- 体系的課題番号 : JP18K11729