2014年12月
ドイツにおける組織再編時の異議申立権の規範的根拠‐法律による労働関係の移転と職場選択の自由
法学新報
- 巻
- 121
- 号
- 7・8
- 開始ページ
- 533
- 終了ページ
- 560
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 研究論文(大学,研究機関等紀要)
- 出版者・発行元
- 中央大学
我が国では組織再編において、会社分割時の労働契約の承継を定める労働契約承継法三条が存在するものの、労働関係の移転に対する承継拒否権は認められていない。 本稿で研究対象にするドイツでは、民法六一三a条において、その一項一文に労働関係の移転を定めているとともに、六項に異議申立権を明文で定めている。 労働関係の移転に対する異議申立権は、ドイツ連邦労働裁判所の判例法理によって認められたものを明文化したものであり、基本法上保障される人間の尊厳や一般的人格権、職場選択の自由に配慮して肯定されてきた。 本稿では、ドイツにおいて組織再編時に認められてきた労働関係の移転に対する異議申立権を対象とする。その際、異議申立権が根拠とする職場選択の自由が持つ意味を確認し、基本法上の地位を検討する。 我が国では、労働関係の移転時における異議権につき、憲法を規範的根拠として位置付ける試みは未だ不十分のものとなっている。そのため本稿では職場選択の自由が有する意味を確認しながら、異議申立権の規範的根拠となることを検討する。
- リンク情報
- ID情報
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- ISSN : 0009-6296
- CiNii Articles ID : 110009917208
- CiNii Books ID : AN00224650