74歳男性。血痰と黒色便を主訴に近医を受診、CTにて左肺癌と下部直腸癌が疑われ、当院へ紹介となった。胸部造影CTおよび下部消化管内視鏡、気管支擦過細胞診より、肺腺癌(cStage IV A)と直腸癌(cStage IIIb)の同時性重複癌と診断され、pembrolizumabの投与が行なわれた。12コース終了時点でのCTでは肺癌の原発巣およびリンパ節転移は著明に縮小し、直腸内視鏡検査でも直腸癌の縮小が確認された。そこで、肺癌は画像上CR(complete response)で予後が見込めるとし、直腸癌に対しての根治術として腹腔鏡下Miles手術、上方D3リンパ節郭清、横行結腸人工肛門閉鎖後にS状結腸人工肛門造設術が行なわれた。その結果、術後の経過は良好で、術後7日目に退院となった。尚、術後1ヵ月よりpembrolizumabの投与を再開・継続中であるが、重篤な有害事象は認めず、直腸癌の再発も認められていない。