講演・口頭発表等

2019年9月

調剤薬局管理栄養士による栄養相談の必要性~筋力測定会前後の意識変化~

第66回日本栄養改善学会学術総会
  • 西尾春花
  • ,
  • 楠野江理圭
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  • 松原真知
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  • 久保光彦
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  • 井尻吉信

記述言語
日本語
会議種別
口頭発表(一般)

【目的】調剤薬局の待合において筋力測定会を実施することにより、「調剤薬局管理栄養士による栄養相談の必要性」が向上するか否かについて検討した。
【方法】H薬局の利用者のうち、研究の趣旨に同意が得られた60歳以上の199名(男性84名、女性115名、年齢74.9±6.6歳)を対象とした。測定項目は「握力」・「舌圧」と基本チェックリスト(KCL)を用いた「フレイル判定」であり、その前後に意識調査アンケートを行った。
【結果】KCLを用いて分類した結果、対象者199名中43名(21.6%)がフレイル、67名(33.7%)がプレフレイル、89名(44.7%)がロバスト(フレイルなし)であり、約半数がプレフレイル・フレイルに該当することが明らかとなった。また、フレイル群の舌圧は、他の群に比べて有意に低値を示した。さらに、本測定実施後アンケートの結果、筋力の衰えを感じた者の割合は39.7%であった。「管理栄養士による栄養相談」を認知している者のうち、「調剤薬局での栄養相談を受けたいと思わない」と回答した者は104名中22名(21.2%)であったが、本測定実施後に同じ質問をしたところ、22名中13名(59.1%)の者で栄養相談の必要性が向上した。また、栄養相談を認知していなかった95名中45名(47.4%)の者が本測定実施後に「栄養相談の必要性を感じる」と回答した。
【考察】今回調査したH薬局利用者のうち、筋力測定会後に調剤薬局での栄養相談の必要性が向上している者が複数いることが明らかとなった。これは、筋力測定会に参加したことにより、管理栄養士が行う栄養相談を認知し、さらに自身の筋力の衰えを感じる機会になったことで、栄養相談の必要性を感じることができたのではないかと推察される。今後はこのような取り組みをさらに発展させ、調剤薬局における管理栄養士の存在意義を示していきたいと考えている。