共同研究・競争的資金等の研究課題

2019年4月 - 2021年3月

第一原理局所応力計算によるハイエントロピー結晶内部の原子レベル応力状態の解明

日本学術振興会  科学研究費助成事業 新学術領域研究(研究領域提案型)  新学術領域研究(研究領域提案型)

課題番号
19H05177
体系的課題番号
JP19H05177
配分額
(総額)
5,720,000円
(直接経費)
4,400,000円
(間接経費)
1,320,000円

ハイエントロピー合金(High Entropy Alloy, HEA)の優れた機械的特性は,合金の強化機構の一つである固溶強化によると考えられているが,詳細は明らかでない.一般的な合金における固溶強化は,転位や積層欠陥等の格子欠陥と溶質原子近傍で生じる応力場の相互作用がその機構である.しかしながら,HEA では溶質原子と母相原子の区別がないため応力場の推定がなく,既存の固溶強化理論が適用できない.従来提案されている局所格子ひずみを見積もるための方策は,いずれも間接的であり,その有効性の根拠を論じる術がない.本研究では,申請者らが開発した独自手法である第一原理局所応力計算法を用いて,電子論から直接的に HEA内部の原子レベル応力場を明らかとすることを目的とする.また,個々の原子が持つ電子論的特性から応力場を解釈することを通して,応力場発現の電子論的メカニズムを明らかとする.今年度の研究においては,bcc型HEA(MoNbVTaW系,TiZrHfNbTa系)に対して第一原理局所応力計算を適用した.
結果として,bcc系合金においては,局所圧力と原子体積変化量の相関が確認された.これは,昨年度成果として得られたfcc型HEAにおける局所圧力と電荷移動量の相関とはやや異なるものである.周期表において同じ周期の元素からなるfcc型に対して,bcc型は同じ族,もしくは,隣の族に位置する元素により構成されている.族の異なる元素は原子半径が異なる傾向があるため,このような差異が出ているものと推測している.結果の妥当性についてさらに検討を進めている.

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PUBLICLY-19H05177
ID情報
  • 課題番号 : 19H05177
  • 体系的課題番号 : JP19H05177

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