2020年4月 - 2023年3月
投射ニューロンにおける新たな疼痛マーカーの発見とその分子制御による鎮痛法の確立
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
当初の計画では、上位中枢に痛みのシグナルを伝達する投射ニューロンにサイトカインの一種であるインターロイキン-33 (IL-33) が発現しているという想定であったが、実験過程でオリゴデンドロサイトに強く発現していることが分かり、若干の軌道修正を行った。昨年度までの研究においてIL-33の受容体であるST2がニューロンに発現していることが分かった。また、IL-33の大槽内投与により、口ひげ部に機械アロディニアが生じるのだが、NMDA受容体サブユニットであるGluN2Bの特異的拮抗薬により機械アロディニアが改善されることが分かった。
これらの結果を受けて本年度は以下の結果を得た。三叉神経脊髄路核尾側亜核スライスを作製し、パッチクランプ法によりGluN2B電流を解析したところ、生理食塩水に比べてIL-33の大槽内投与後にGluN2B電流の増加が認められた。さらに、シナプトソーム分画を作製し、GluN2Bの発現をウエスタンブロット法により解析したところ、IL-33大槽内投与群ではGluN2Bのリン酸化が亢進していた。GluN2Bのリン酸化の要因を解析したところ、Fyn kinaseがその原因であった。そこで、IL-33誘発性機械アロディニアに対するFyn kinaseの役割を検討したところ、Fyn kinase阻害薬でIL-33誘発性機械アロディニアの発症が抑制された。
これらの結果を受けて本年度は以下の結果を得た。三叉神経脊髄路核尾側亜核スライスを作製し、パッチクランプ法によりGluN2B電流を解析したところ、生理食塩水に比べてIL-33の大槽内投与後にGluN2B電流の増加が認められた。さらに、シナプトソーム分画を作製し、GluN2Bの発現をウエスタンブロット法により解析したところ、IL-33大槽内投与群ではGluN2Bのリン酸化が亢進していた。GluN2Bのリン酸化の要因を解析したところ、Fyn kinaseがその原因であった。そこで、IL-33誘発性機械アロディニアに対するFyn kinaseの役割を検討したところ、Fyn kinase阻害薬でIL-33誘発性機械アロディニアの発症が抑制された。
- ID情報
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- 課題番号 : 20K09896
- 体系的課題番号 : JP20K09896
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論文
1-
Brain, Behavior, and Immunity 99 266-280 2022年1月 査読有り責任著者