共同研究・競争的資金等の研究課題

2020年4月 - 2023年3月

長期電気刺激と外科的介入による大脳マルチスケールでの機能的及び形態的変化の研究

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)  基盤研究(B)

課題番号
20H03794
体系的課題番号
JP20H03794
配分額
(総額)
17,940,000円
(直接経費)
13,800,000円
(間接経費)
4,140,000円

本研究の目的は、大脳への電気刺激や外科的介入がもたらす機能的変化及び形態的変化を明らかにすることである。特に長期刺激や手術後長期の変化を、大脳皮質局所から大脳全体までマルチスケールに捉えることを目標とする。すなわち、(1) ラット迷走神経刺激(VNS)長期刺激モデルを用いた聴覚野皮質と海馬における局所微小ネットワーク特性の変化と形態的変化の検証、(2) ミニブタ脳表電気刺激モデルを用いた脳回単位での多点脳表脳波とfunctional near-infrared cortical imagingによる機能的ネットワーク特性の変化と形態的変化の検証、(3) ヒトてんかん手術およびVNSによる大脳全体のネットワークと形態変化の検証を行う。R2年度の大部分は新型コロナウィルス感染症により研究が停止した。R3年度より実質的に研究を再開した。(1)では成体ラットでまず急性刺激実験を行い、VNSがノルアドレナリン作動性ニューロン及びコリン作動性ニューロンを通じて聴覚野における刺激へのオンセット反応と高周波活動を亢進させることを見出した。誘発電位P1は視床から皮質への出力を、高周波帯域の活動は皮質内を伝播するボトムアップの情報伝達を表しているとされており、VNSがボトムアップ方向の情報処理を高めることが示唆された。さらに長期刺激モデルの準備を進めた。(2)についてはブタ実験のために多施設から共同研究者が集合する必要があったが、残念ながら新型コロナ感染症の影響でブタ実験の継続が困難となった。すでに実験が完了している皮質切開の皮質誘発電位に対する影響についてまとめて論文作成を進めた。(3)については、これまで側頭葉切除や海馬多切術の前後のfMRIによる記憶課題での賦活領域や安静時ネットワークの解析を行い、記憶の一時的障害とその後の回復の背景をなす機能的ネットワーク変化を明らかにした。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-20H03794
ID情報
  • 課題番号 : 20H03794
  • 体系的課題番号 : JP20H03794