論文

査読有り 筆頭著者
2018年6月

糖尿病の有無が凍結肩に対する鏡視下肩関節授動術の術後成績に影響するか

JOSKAS
  • 齊木 理友
  • ,
  • 久保 憂弥
  • ,
  • 山門 浩太郎

43
3
開始ページ
631
終了ページ
636
記述言語
日本語
掲載種別
出版者・発行元
(一社)日本関節鏡・膝・スポーツ整形外科学会

【目的】凍結肩は明らかな要因なく、肩の疼痛と可動域制限を生じる疾患である。凍結肩では糖尿病(DM)がROM制限や疼痛増強の因子とされているが、DMが鏡視下肩関節授動術後の成績に及ぼす影響を調査した報告は少ない。DMの有無が、凍結肩に対する鏡視下肩関節授動術の術後成績に影響するかを後方視的に検討した。【方法】2011年9月から2015年12月の期間中に、鏡視下肩関節授動術を施行した凍結肩41例46肩を対象とし、術前にDMと診断されたDM群15肩と非DM群31肩の2群に分け検討した。検討項目は、術前と術後12ヵ月時の肩自動ROM(屈曲、外旋)、疼痛VAS、UCLA scoreとその各項目(痛み、機能、前方挙上、筋力、満足度)とした。さらに、各群の術後の再授動術率を算出した。統計解析は、ROMは対応のないt検定、UCLA scoreとVASはMann-WhitneyのU検定、再授動術率はχ2検定を用いて、危険率5%で比較検討した。【結果】術前はすべての項目において2群間に有意差は認めなかった。術後の外旋ROMとUCLA score、UCLA各項目の痛み、機能、満足度はDM群において有意に低値を認めた。術後の疼痛VASはDM群において有意に高値を認めた。再授動術率はDM群46.7%、非DM群3.2%と、DM群において有意に高値を認めた。【考察】DM性の凍結肩は、鏡視下肩関節授動術後も癒着による外旋制限や疼痛が生じやすく、再授動術に至りやすいと考えられる。そのため、DMを有する場合は、術前から再授動術のリスクを説明することや、術後早期の疼痛コントロール、外旋制限に対する理学療法、DMコントロールがより重要であると考える。(著者抄録)

ID情報
  • ISSN : 1884-8842
  • 医中誌Web ID : 2018378712

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