共同研究・競争的資金等の研究課題

2019年4月 - 2023年3月

シームレスイメージング解析により捉えた運動学習時の皮質運動野の動的神経回路の本質

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)  基盤研究(B)

課題番号
19H03336
体系的課題番号
JP19H03336
配分額
(総額)
17,290,000円
(直接経費)
13,300,000円
(間接経費)
3,990,000円

電子顕微鏡による大規模電顕画像3次元再構築処理法と光学顕微鏡観察法を相関させ、マウスの運動学習に伴う大脳皮質第一次運動野の神経回路のダイナミックな変化を解析する。運動学習に伴い形成される新規のシナプス入力の由来が大脳皮質錐体細胞であるか視床の神経細胞であるかを明らかにする。大脳皮質錐体路細胞にGFPが発現する遺伝子改変マウス(Thy1-M系統)を用いて、狭いスリット穴越しに小さい餌(粟)を前肢でつかみ取る課題を、毎日20分間10日間にわたり学習させた。M1の前肢領上に頭蓋窓を作製し、トレーニング期間中、毎日、同一のPT細胞樹状突起セグメント(10-20箇所)を2光子励起顕微鏡下で生体観察し、棘突起の新生と消失を観察した。種掴み成功率からマウス個体ごとの学習期を割り出し、学習前、習得期(4日目程度)、完成期(10日目以降)の動物を灌流固定し、M1前肢領域の脳切片を作成する。VGluT1(vesicular glutamate transporter type 1; 錐体細胞の神経終末マーカー)、VGluT2(視床-皮質神経終末マーカー)、Homer(興奮性シナプス後膜マーカー)、GFP(錐体路細胞蛍光マーカー)に対する蛍光4重染色を行い、共焦点レーザー顕微鏡で観察した。生体観察した棘突起上で、Homerに接触するシナプス前終末マーカーを同定した結果、習得期には、新生棘突起にシナプスを形成する神経終末の多くが、大脳皮質2次運動野(M2)由来であること、完成期にはそれが消失するが、視床由来の神経終末の入力を受けている棘突起は残存し、大きくなっていることを見出した。さらに、化学遺伝学的手法で、その2つの興奮性入力経路の活動を休止させて解析した結果、M1投射M2神経細胞が学習の上達に深く関与していること、M1投射視床神経細胞がその熟練運動の維持を担っていることを認めるに至った。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-19H03336
ID情報
  • 課題番号 : 19H03336
  • 体系的課題番号 : JP19H03336