2016年9月
【自己免疫疾患-Preclinical Stateから発症・早期診断まで】全身性自己免疫疾患 高安動脈炎の発症機序におけるHLAとサイトカインの寄与
医学のあゆみ
- 巻
- 258
- 号
- 10
- 開始ページ
- 983
- 終了ページ
- 989
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 出版者・発行元
- 医歯薬出版(株)
高安動脈炎は大型血管炎に属する特発性の炎症性疾患である。ステロイドが有効であるが、易再燃性であり、進行例では心血管系に重篤な合併症をきたすため問題となる。HLA-B*52は高安動脈炎の発症と関連し、高安動脈炎はHLA-B*52の保有率が高い日本などのアジアに多い。分子構造レベルでHLA-B分子の各アミノ酸配列と高安動脈炎発症感受性の関連を解析したところ、ポケット構造に位置する2つのアミノ酸多型が発症と関連していた。さらに全ゲノム関連研究により、IL12BおよびMLX遺伝子領域のSNPが高安動脈炎の発症と関連することが示された。このうちIL12B遺伝子領域のSNPは高安動脈炎の重症度や治療反応性と関連していた。IL12BがコードするIL-12/23 p40はIL-12およびIL-23の共通サブユニットであり、これらのサイトカインはT細胞やNK細胞の成熟に関与する。IL-6、TNF-αも諸研究により高安動脈炎の病態への関与が示唆されている。これらのサイトカインを阻害する生物学的製剤が高安動脈炎の治療として試され、有効性が報告されている。(著者抄録)
- ID情報
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- ISSN : 0039-2359
- 医中誌Web ID : 2016359054