2016年10月
足趾把持力に影響を及ぼす因子の検討
日本理学療法学術大会(Web)
- ,
- ,
- ,
- ,
- ,
- ,
- 巻
- 51st
- 号
- Suppl.2
- 開始ページ
- P‐KS‐39‐1(J‐STAGE)
- 終了ページ
- KS
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- DOI
- 10.14900/cjpt.2015.0706
- 出版者・発行元
- (公社)日本理学療法士協会
【はじめに,目的】足趾把持力発揮に影響を及ぼす因子として,体重,足部柔軟性と足部アーチ高率の3つの因子を明らかになっている(村田ら 2003)。近年,新たに足趾把持力発揮に関連する諸因子が報告されていることから,再度,それらの因子を含めた上で,検証が必要と考えられる。本研究では,若年者の足趾把持力発揮に影響を及ぼす因子を明らかにするため,過去に足趾把持力に関連すると報告された項目を中心に測定し,各因子と足趾把持力との関連を検討した。【方法】対象は,健常成人女性12名(平均年齢21.2±0.4歳,身長159.6±3.7cm,体重51.5±4.8kg)とした。測定項目は,足趾把持力と足趾把持力発揮時の足関節角度,大腿直筋と大腿二頭筋,前脛骨筋,腓腹筋内側頭の筋活動量,足部柔軟性,足部アーチ高率,体重とした。統計処理は,足趾把持力と他の測定値との関係について,ピアソンの相関係数を用いて検討した。さらに,足趾把持力に影響を及ぼす因子を抽出するため,従属変数を足趾把持力とした重回帰分析のステップワイズ法(変数減少法)を行った。【結果】得られた測定値は,足趾把持力が15.9±4.3kg,足部柔軟性が2.9±0.8cm,足部アーチ高率が19.9cm,足関節背屈角度が2.9±0.8°であった。また,%IEMGは,大腿四頭筋が3.1±1.6%,大腿二頭筋が31.9±20.8%,前脛骨筋が35.3±19.3%,腓腹筋内側頭が50.9±19.2%であった。足趾把持力と有意な相関を示したのは,相関係数が高い順に,足部アーチ高率(r=0.69),前脛骨筋の%IEMG(r=0.67),足部柔軟性(r=0.66),腓腹筋内側頭の%IEMG(r=0.61),足関節背屈角度(r=0.60)であった。ステップワイズ重回帰分析の結果,足趾把持力に影響を及ぼす因子として抽出された項目は,足部アーチ高率および前脛骨筋の%IEMGの2項目であり,標準偏回帰係数は順に0.54(<i>p</i><0.01),0.51(<i>p</i><0.01)であった。【結論】本研究における単相関分析の結果,足趾把持力と足部柔軟性,足部アーチ高率,足関節背屈角度および前脛骨筋,腓腹筋内側頭の%IEMGの5項目と有意な相関が認められた。この5項目は,先行研究においても相関が認められており,本結果では,これを追認した。重回帰分析によって,足趾把持力に独立して影響を及ぼす因子として抽出されたのは,足部アーチ高率と前脛骨筋の%IEMGの2項目であり,足部アーチ高率とが高いほど,前脛骨筋の%IEMGが大きいほどに足趾把持力が強いことが確認された。足部アーチ高率は,内側縦アーチの指標として用いられることが多く,内側縦アーチは,骨や靭帯,前脛骨筋,後脛骨筋,長母指屈筋,長指屈筋,母指外転筋の筋群より構成される。これらの筋群には,足趾把持力の主動作筋である長母指屈筋,長指屈筋,足趾把持力発揮時に重要な前脛骨筋が含まれる。これらの知見から,足部アーチと足趾把持力は,密接な関係にあり,相互的に作用していることが示された。
- リンク情報
- ID情報
-
- DOI : 10.14900/cjpt.2015.0706
- ISSN : 0289-3770
- 医中誌Web ID : 2018149352
- J-Global ID : 201602248233626013
- CiNii Articles ID : 130005417644
- identifiers.cinii_nr_id : 9000345413458