2018年3月
腰痛に関連する脳活動と抑うつ傾向との関連
感性福祉研究所年報
- ,
- ,
- ,
- 巻
- 号
- 19
- 開始ページ
- 141
- 終了ページ
- 147
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 出版者・発行元
- 東北福祉大学感性福祉研究所
著者らは視覚刺激を提示した時の脳活動について検討しており、これまで、腰痛を喚起する視覚刺激時の、腰痛に影響する刺激と影響のない刺激の脳反応の差を個人レベルで明らかにしている。今回、医療系学部に在籍する、現在は痛みを抱えていないが過去4週間の間に中等度の腰痛を経験している女子大学生11名を被験者に、腰痛を喚起する画像(フラワーポットの移動、掃除機の使用)を呈示した時の情動的な脳活動を近赤外線分光法(NIRS)で計測し、抑うつ傾向および恐怖回避思考との関連を検討した。その結果、腰痛に影響する動作視聴時、抑うつ傾向の高い学生では低い学生に比べ、FP(frontal pole:前頭極)領域の脳活動が有意に抑制的であることが分かった。FP領域は霊長類の中でもヒトで発達しており、高次な情報統合、認知コントロールに関与している。腰痛に影響する動作という侵害刺激に対し、疼痛処理を認知的に行う過程での役割をFP領域が遂行しているのではないかと考えられた。
- ID情報
-
- ISSN : 1344-9966
- 医中誌Web ID : S619450004