共同研究・競争的資金等の研究課題

2017年4月 - 2021年3月

機能性胃腸症における胃の痛覚過敏へのCRF2を介したインターロイキン6の関与

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
17K09031
体系的課題番号
JP17K09031
配分額
(総額)
4,810,000円
(直接経費)
3,700,000円
(間接経費)
1,110,000円

我々はラットにwater avoidance stressを毎日2時間、10日間加えるとストレス後に胃の痛覚が亢進し、この痛覚亢進には副腎皮質刺激ホルモン放出因子(CRF)の受容体のうちCRF2が関与していることを報告している(Kozakai, Ozaki et al., 2016)。CRF2が痛覚亢進に関わるメカニズムを明らかにするため、以下の項目について調べた。
1.ストレスによる胃の痛覚過敏への炎症性サイトカインIL-6の拮抗薬の効果
胃については報告が無いが、大動脈平滑筋ではCRF2の活性化でIL-6の発現と分泌が亢進するとの報告がある。そこで、炎症性サイトカインIL-6に対する中和抗体を投与したときの、胃の痛覚亢進への効果を調べた。water avoidance stressによって痛覚が亢進したラットにIL-6中和抗体を投与し、対照群にはIgGを投与した。IL-6中和抗体を投与した群では、ストレスで亢進した痛覚が有意に抑制された。対照群では、変化はなかった。
2. CRFおよびその受容体の胃粘膜での発現局在
CRFファミリーであるCRF、Ucn1、Ucn2および、受容体であるCRF2の発現を免疫組織学的に調べて定量的に評価した。CRFは固有胃腺の腺細胞に、Ucn1およびUcn2は粘膜固有層深部の結合組織細胞に、受容体であるCRF2は粘膜固有層深部の結合組織細胞と、少数ながら固有胃腺の腺細胞に発現していた。そのうちUcn2とCRF2は、肥満細胞とその他の結合組織細胞に発現していた。ストレスを加えると、CRF2を発現する細胞が有意に増加していたが、CRF、 Ucn1、Ucn2、肥満細胞の数に変化はなかった。ストレスを加えると肥満細胞以外のCRF2陽性の結合組織細胞が増加し、ストレスによる胃の痛覚の亢進に関与していることが明らかとなった。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-17K09031
ID情報
  • 課題番号 : 17K09031
  • 体系的課題番号 : JP17K09031