論文

2016年5月

結膜炎症状で発症した眼窩蜂巣炎の1例

あたらしい眼科
  • 平木 翔子
  • ,
  • 岡本 紀夫
  • ,
  • 山雄 さやか
  • ,
  • 渡邊 敬三
  • ,
  • 橋本 茂樹
  • ,
  • 福田 昌彦
  • ,
  • 下村 嘉一

33
5
開始ページ
719
終了ページ
723
記述言語
日本語
掲載種別
出版者・発行元
(株)メディカル葵出版

目的:結膜炎症状で発症した眼窩蜂巣炎の1例を経験したので報告する。症例:66歳、女性。2014年12月末に後頭部痛を自覚。その後、眼瞼の痛みを自覚し2015年1月5日に近医を受診。左眼の結膜炎と診断され0.5%レボフロキサシン点眼、0.1%フルメトロン点眼をするも改善されないため当科受診となる。初診時矯正視力は右眼1.2、左眼1.0pで、眼圧は右眼17mmHg、左眼23mmHgであった。前眼部所見では右眼は正常であったが、左眼は全周にわたる充血と下方の結膜の浮腫を認め一部は黄色の液体であった。ただし眼脂を認めていない。眼底所見は両眼とも視神経乳頭浮腫はなかった。若干の眼球運動障害があったのでHess試験を施行したところ、左眼の眼球運動障害を認めた。眼窩蜂巣炎を疑いCT検査をしたところ、炎症波及の原因となる副鼻腔炎を認めない眼窩蜂巣炎であった。ただちにセフェピム塩酸塩1g/日の点滴を開始した。その後、自覚症状は改善し結膜所見、Hess試験の所見も改善した。結論:本症例は既往歴に高血圧があるのみで、軽度の結膜炎から眼窩蜂巣炎に至ったと推察した。軽度の結膜炎に眼球運動障害がある場合、眼窩蜂巣炎を念頭に置く必要がある。(著者抄録)

ID情報
  • ISSN : 0910-1810
  • 医中誌Web ID : 2016318515

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