共同研究・競争的資金等の研究課題

2002年 - 2005年

ヒト頭頸部リンパ管の発生制御と腫瘍接着機構に関する総合的研究

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)  基盤研究(B)
  • 吉田 重光
  • ,
  • 沢 禎彦
  • ,
  • 柴田 健一郎
  • ,
  • 山岡 雄司

課題番号
14370575
体系的課題番号
JP14370575
配分額
(総額)
13,900,000円
(直接経費)
13,900,000円

1.口腔扁平上皮癌が転移した頭頚部リンパ管において,リンパ管内皮ならびに腫瘍が発現するデスモゾーム関連蛋白の種類と超微細構造学的発現様式
腫瘍組織の検索の結果、(1)腫瘍組織内リンパ管はデスモプラキンを発現すること、(2)リンパ管内腫瘍はデスモプラキンを過発現すること、また(3)腫瘍細胞はコア蛋白、なかでもデスモコリンの消失する傾向が強いことが見いだされた。口腔扁平上皮癌細胞株HSC2,HSC3,HSC4,HO1myu1,HO1N1,Ca.922,SAS,KBの検索の結果、(1)すべての細胞株はデスモグレイン1および2を発現しないこと、(2)KBはデスモグレイン1,2および3を発現しないこと、(3)Ca.922を除くすべての細胞株はデスモコリン1を発現しないこと、(4)HSC4,HO1myu1,HO1N1,SASはデスモコリン2の発現が弱いこと、(5)すべての細胞株はデスモコリン3、プラコグロビン、およびデスモプラキン1と2の共通領域を発現すること、またデスモプラキン1の遺伝子に変異が無く,正常蛋白を発現することが明らかとなった。
2.デスモゾーム関連蛋白による転写因子活性化
腫瘍組織の検索の結果、(1)毛細リンパ管内腫瘍にはp53を発現するもののあること、(2)p53発現性毛細リンパ管内腫瘍細胞はコア蛋白の消失する傾向が強いことが見いだされた。また上記口腔扁平上皮癌細胞におけるp53発現の検索の結果、(1)すべての細胞株においてp53の蓄積が見られることが見いだされた。
3.口腔扁平上皮癌細胞株におけるリンパ管指向性蛋白の発現
口腔扁平上皮癌細胞株HSC2,HSC3,HSC4,HO1myu1,HO1N1,Ca.922,SAS,KBはcys-cys chemokine ligand(CCR)7を、またcys-X_3-cys chemikone ligand 1(CX_3CL1)およびそのレセプターCX_3CR1を通常、遺伝子レベルで発現することが明らかとなった。
4.培養ヒト皮膚リンパ管内皮細胞の増殖活性
ヒト皮膚リンパ管内皮細胞は、vascular endothelium growth factor(VEGF)およびInsulin-like growth factor(IGF)の両者が無ければ増殖出来ないこと、またVEGFおよびIGFを投与せずに培養しているリンパ管内皮細胞に、口腔扁平上皮癌細胞株HSC3,HO1myu1,あるいはSASを加えて共培養を行うと、リンパ管内皮細胞に増殖が観察され、その生活活性は共培養しないものよりも長く維持されることが明らかとなった。口腔扁平上皮癌のあるものは、リンパ管新生に寄与する成長因子を産生するかもしれない。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-14370575
ID情報
  • 課題番号 : 14370575
  • 体系的課題番号 : JP14370575